『屍鬼(8)』

屍鬼 8 (ジャンプコミックス)

  • 奥さんにシカトされっぱなしの趙公明かわいそう
  • 辰巳のあんちゃんにもキャラ食われてる趙公明かわいそう
  • ラストのコマの先生の悪い笑顔がとても悪い(冗語)

"化物に立ち向かうためには、自分自身もイレギュラーな化物ならねばならない"展開。これまで積み上げてきた伏線が結実し、遂に反撃へと転じるであろう今後の展開、そのカタルシスはもう約束されたようなものでしょう。次巻が待ち遠しいったらありません。

 ただ、その反撃の成功がどんな結果を引き起こすのだろうと考えると、これはあまり愉快な話でもなく……おそらく、これまでの展開にも決して劣らない凄惨な光景が訪れるのでしょう。屍鬼を追い出したところで"死んだ人が戻ってくる"わけでもなく*1、人口が減って寂れきった寒村が残るだけです。このまま屍鬼の村なってしまった方が、むしろ活気は残ったのだろうなとか思うとやるせません。

 なによりこの反撃に成功すると、人間の側に立って戦った最大の功労者自身が「追い出される側」に回るわけで、うーん、いつの間にかもろに「守るべき人々から迫害されるヒーロー」っぽい展開になってきましたね。『屍鬼』の原作は読んでいないので比較することはできないのですが、少年漫画出身である藤崎さんオリジナルのエッセンスとして「迫害されるヒーロー」っぽさが現れているのだとしたら面白いなあ、などと思うのでした。

*1:戻ってきた死者を追い出すのですから、そりゃそうです。