映画『ひぐらしのなく頃に』

ひぐらしのなく頃に 劇場版 スタンダードエディション [DVD]

 観てしまったのですよ……。映画版についてはほとんど情報を追いかけていなかったのですが、801ちゃんの人が続編の「誓」がなんか本当にいいものらしいと力説してはったので、これは観た方がよさそうだということで、まずは一作目から手をつけてみました。ただしこちらの方の評判はあまり芳しくないらしいということもあり、「誓」のための前準備くらいの感覚でした。

 実際観てみた感想としても、まあ前評判と大きく違えるところはなく。なまじバックグラウンドの設定を絡めようとするせいで、単体のホラー映画としてどうにもならない感じになっているのが根本的にまずいところなのかなと思います。原作未読者にとっては怖さよりも意味不明さが先に立ちそうですし、かといって背景を知り尽くした原作既読者にしてみると、『ひぐらし』はもはやホラーではありえない作品なので、どちらにしても上滑りになってしまうわけです。今さらオヤシロ様に後ろに立たれても、もはやギャグとしか……。(「嘘だ」の演出まわりとか、とっちらかった伏線張りを見てると、コンセプトが正しければどうにかなったわけでもないような気がしますが、映画の良し悪しは私のサポート範囲外なのでパス)

 部分部分を見ていくと、とりあえず梨花ちゃんの役者さんがたいそう可愛かったので、最悪の事態は避けられたし後はまあいいかーみたいな。(奉納演舞は綺麗でした) 作品の雰囲気は現実化されていて、「にぱー」やら「はぅー」やらのオタク表現は一切なし*1。主演役者陣の微妙な三枚目加減も含め、美少女ゲーム的な美化が剥がれた分、「実際の雛見沢はこういうくたびれた感じなのだろうな」っと想像を楽しませることはできたのかなと思います。特に「ですわ」口調で喋らない沙都子ちゃんの自然な子供らしさが新鮮*2でしたね。あと富竹! 富竹がなんかすごいチンピラくさくなってる……。(でも死に方だけは一丁前) 富竹としての良し悪しはともかく、なんかやたら印象に残る役者ではありました。

 と、どうにも評価しづらい作品だったわけですが、この続編の「誓」を高く評価している人が、私の観測範囲内に少なくとも数人いるというのですから、それがいちばんお驚きだったりします。一体これをどうすればそんなことに……とちょっと想像つかないのですが、もちろん良いものであるに越したことはありません。多少おっかなびっくりではありますが、期待して観るとしましょう。

*1:一箇所だけ、エンジェルモートっぽいレストランに眼帯メイドが出てきましたが、あれはどうも明らかに不気味なホラー演出として出して来たっぽいです。

*2:本作は『鬼隠し編』相当ですし、次作も『罪滅し編』相当なので、沙都子ちゃんの出番がほとんどさそうなのは残念です。