『Landreall(1)-(22)』

Landreaall 22巻 限定版 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
 普段あんまり意識してませんがうちはいちおう感想サイトでして、ここで「感想を書くこと」とは「作品の鑑賞に際して芽ばえた感覚や連想した考えを何とかしてうまいこと言語化すること」と定義しています。なんも言わないよりはなんか言った方が自分の思うところに近づけるはず、という発想がその根本にあるわけですが、「これ、何か言えば言うほど本来の感覚から遠ざかっていくのでは?」という不安に陥って何も言えなくなってしまう作品がたまーにあります。

『Landreall』はまさにそういう漫画でして、とにかくめちゃくちゃ面白かったのでなんとか言葉を尽くして賞賛したくなるのですが、いくら言葉を重ねても肝心なところを外してしまう気がします。人間心理の機微の描き方がものすごいとか、伏線の張り方が見事であるとか、それらが有機的に制御されていてとんでもないとか、褒め言葉はいくらでも出てくるのですが、でも大事なのはそこじゃないでしょ、という気がしてなりません。なにを言っても無粋、というか。「進撃の巨人」に無粋な突っ込みをしまくった直後にこんなこと言うのもどうなのかという気はしますが、まあそこは作品性の違いでしょうか……。

 とゆうわけであんまり感想書く気はなかったのですが、せっかく読んだのに何も言わずじまいはもったいないので、とりあえず「読みました」というご報告を。10年と22巻の長さを感じさせない、時間感覚のたいへんゆったりとした作品ですが、時勢に振り回されず円満完結までマイペースに続いてくれればいいなあと心からお祈りする次第です。