『ルフランの地下迷宮と魔女の旅団』

ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団 - PSVita

ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団 - PSVita

  • 発売日: 2016/06/23
  • メディア: Video Game

 これ実は発売日に買ってたんですが、ラスボスに勝てずにモタモタしてるうちになんかVITAから手が離れてしまい、気づくと4年も経ってしまってました……。続編のガレリアも発売日が決まったことだし、そろそろ終わらせなきゃと一念発起してクリアしたのがこの前の夏休み。ラスボスの一撃でパーティ半壊する有様だったので、結局全員転生させてレベル1から育て直してました……(20時間かかった)(今思うと紙防御の範囲アタッカーを外して耐久高めの単体アタッカーで固めれば一世代前でもどうにかなった気がするけど、後の祭りですね)。

「最大40人で隊列を組んで大人数で戦える」ことが売りのRPG。たしかにメイン3人+サポート5人の8人部隊を合計5隊まで編成できるので合計40人になるんですが、サポートメンバーはとりあえずセットしとけば補助効果が発動する置き物くらいの役割でしかないので、実質的にはメインの3人×5部隊=15人パーティが上限と思った方がいいです。それでも、10人を超えるユニットが入り乱れてボコスカ殴り合う光景は賑やかで楽しいですね。人数に比例して戦闘時間が伸びるのは仕方ないですが、早送りすれば目が追いつかないくらいの高速戦闘になるので、雑魚戦でもわりと爽快感があります。

 何十体ものユニットを作成して、名前をつけて、さらにはフレーバーテキストまで書き込めるので、そういうのが好きな人にとっても堪らないゲームだと思います。人数が多すぎてどうしても操作が煩雑になったり、頭の中の育成計画がごちゃごちゃになったりしたので、好き嫌いとはまた別のところでも向き不向きがありそうですけど……。私は途中から破綻したので、次やるときはまじめに表管理でも検討します……。

 あとこのゲーム、ハクスラ要素があります。同じ名前の装備でもパラメータに個体差があり、レアリティや称号付きなら性能が大きく変動するというやつです。前線に出る十数名のユニットにそれぞれ6つの装備箇所があるため、プレイヤーが管理すべき装備品は数百個に上ることになります。しかもそれぞれのアイテムがユニークなパラメータを持っているので、種類さえ覚えておけばいいというものでもありません。ミニマムな管理が得意な人には楽しそうな要素ですが、私にとってこの辺は完全にキャパシティオーバーでしたね……(いちおう「最強装備」ボタンもあるんですが、一度強いの付けたら永遠に外し忘れそうだったので怖くて使いこなせず。うーん)。

シナリオまわり

 原田たけひと絵のキャラクターは可愛らしいものの、シナリオは頽廃的で底意地の悪いダークメルヘン風味、でも最後はちょっといい話に落着するという、日本一ソフトウェアのある種の定番パターン。人形や魔女などのモチーフを血腥く陰惨に味付けしつつ、人の罪や悪性、その先にあるなんか綺麗っぽいものなどにも焦点を当てていくお話ですね。悪趣味というよりは悪ノリに近いディスガイアシリーズなんかと比べると、わりと大真面目に露悪的な方向に振っているので、基本的には胸くその悪い展開が続きます。サポート役というか実質主人公のルカちゃんはめちゃくちゃ健気で可愛いんですが……。

 方向性の好みはともかく、お話としてはしっかりまとまっていて、時間をかけた分だけの満足感がありました。地上の街でメインキャラたちが繰り広げる本編シナリオと、ダンジョンに派遣されたプレイヤーが遭遇するさまざまなサブシナリオはいまいち絡みが薄くて、ゲーム部分とストーリーが乖離気味だなーという感想がないでもなかったのですが、終盤に近づくにつれてその辺も徐々に合流し、最終的に綺麗にまとまった感じです。

 クリア後の作りもよかったです。トゥルーエンドに入るには各階層をもう一度巡って隠しボスを倒していく必要があるのですが、その過程がとある重要人物の過去の足取りを辿るような行程になるんですね。魔女に命令されるがまま、わけも分からず続けていた旅に新たな意味合いが浮かび上がる、面白い趣向でした。PSVitaだと実績解除のメッセージもその行程を辿る内容になってるのでなお良いです。

 という感じで、6体の隠しボスを撃破してようやくトゥルーエンドを見られたんですが、ここからさらに裏シナリオが始まるんですよね……。いちおう本編シナリオとは一区切りついた外伝みたいな位置づけなんですが、これがえらくボリュミー。裏面だから難易度高いのは分かりますが、シナリオもやたら凝っててフルボイスでめっちゃ喋るし、新キャラ出てくるし、新規BGMも惜しみなく出てくる。通常戦闘曲まで新規ってどういうこと? 本編が12話のテレビアニメならこっちは特別編の映画1本みたいなノリで全然軽くありません。クリアしたら後はまあ気分でと思ってたけど、こんな風に畳みかけられたら悩んでしまいますね。もう続編出るのにどうしよう……。

「ユニット数が多いゆえ、覚えておくべき情報が多くて作業も煩雑、正直私には管理しきれない」というところが作品コンセプトゆえの苦手ポイントでしたが、ともあれやりこみRPGの名家日本一ソフトウェアの目玉タイトル、面白くないはずはありませんでした。数人単位で1ユニットというシステムをRPG戦闘に落とし込む発想は面白かったし、まだまだ色々やれそうなので、この方向性はもっと突き詰めて欲しいですね。

 続編のガレリアも時期が合えばやってみたいですが、いちばん期待してるのはUI周りの改善だったりします。普通のRPGとしては十分作り込まれてる部類のUIだと思うのですが、それ以上にユニット数が多すぎるんです。特に装備品が扱いやすくなってると嬉しいですね。アイテムを細かいパラメータでソートできたり、お気に入り登録できたりするだけでもかなり遊びやすくなると思うので……*1

*1:ユニットたちが勝手にアイテムを分配して勝手に装備していくラストレムナント形式もある種の理想ですが、そこまでやっちゃうともう違うコンセプトのゲームなのでそれはそれとして