『レベル16』

 女性の美徳は清潔と従順、悪徳は好奇心と唱えながら毎日あやしいビタミン剤を飲まされ続ける激ヤバ管理空間で生活する少女どうしの友情もの、基本的には耽美で陰惨な少女地獄だけど終盤でなんか文脈が変わってフィジカルになります。なんで? 私このところ終盤でいきなりパワープレイに切り替わる映画に連続で当たりすぎじゃありませんか?*1 パワープレイは好きですが……。

 露骨にディストピア的な管理社会、SFオチかな? と最初は思ったんですが、よくよく見ていくとその管理っぷりがえらくしょっぱくて、よくある「商品価値のある美しく従順な少女」の最悪養成機関だとしてもやり方がチープ。映画が低予算とかそれ以前にこの管理環境自体の経営が露骨に苦しそうで、あれ? これそういう話? と訝しんでたら実際そういうお話でした。「冷厳で残酷な法則に支配される薄幸の少女たち」という悲劇的で耽美な風に見えていた光景が実はもっと安っぽくてしょうもないハリボテだったと明かされる幻滅感と、そんな空想を環境ごとぶち壊すカタルシスで出来た映画でしたね……。

 あと終盤に差し掛かるくらいのところで、なんかもう話が終わっちゃいそうなポイントありましたよね? あそこでそのまま逃げて終わってた方が幻想性と想像の余地を残す綺麗な結末になってたはずなんですけど、あえて引き返してまで裏の裏まで暴いて別種の結末に至る感じ、「この扉を開けたらグッドエンドだけど、まだ時間残ってますね。戻ってもう少し探索しますか?」ってGMから確認されるやつみたいでした。蛇足なんですが、この映画の場合は蛇足あってこそなので、よかったと思います。

*1:直近でヴァイオレット・エヴァーガーデンを見ていたのでこんなことを言っています。