『幻想水滸伝II』

 一〇八星を全員揃えてクリア! グリンヒル潜入あたりでクライブ勧誘が手遅れになってることに気づいて1回やり直しましたが、プレイデータとしては53時間ほどでした。Iと比べると倍以上のボリュームですね。

 RPGとしては紋章の装備箇所が増えたこともあって編制の幅が広がり、戦法が多彩になった印象です。一部のインタフェースでは控えメンバーの紋章や武器育成もできるようになったので、大勢のキャラクターを管理する煩雑さもいくらか軽減。それでもメンバーを入れ替える際の編成のやりくりには手間が掛かるので、戦略系のゲームくらい思い切った全軍一括編成のインタフェースがあればありがたかったですかね。いろんなキャラクターを使ってこそのゲームだと思うので。

 ほとんどのボスに初見で勝てましたが、その割にあんまり楽に勝てた印象もなく、毎回ヒーヒー言ってた気がします。アクセサリ系と消費アイテム系の装備欄が共通なんですが、消費アイテムうまく使えない族の私はアクセサリ系で埋めてしまうことが多く、よくジリ貧の消耗戦になってた気がしますね。長いダンジョンの後にボスが待ってるケースが結構あったので、警戒した結果魔法を撃ち控えすぎたり……。そこまでやり戻しが発生するわけではなく、それでいて道中でも常に緊張感があったので、難易度はちょうどよい感じでした。ルカ・ブライトみたいな強敵がちゃんと強敵感ある戦いになってるのが良かったです(調べてみたら、1戦目と2戦目は負けてもよかったみたいだけど、そういうところの見せ方も含めて)。

 一〇八星のセリフ量が全体的に増えて、それぞれのキャラクターがより掘り下げられていたのが嬉しかったです。シナリオ上ちょっとしか絡まないキャラクターでも本拠地で話しかけるタイミングによって細かい差分がいろいろあったりして、急いでシナリオを進めなきゃいけない時でもついつい寄り道を繰り返してしまいました(チョイ役の中では、出番少ないながらもツァイとの絡みが印象的なトモが好き。かわいい)。

 メインのシナリオでは主人公、ナナミ、ジョウイを軸にしたエピソード回しがやはり本当に良くて、ミューズでジョウイの帰りを待つシーンの郷愁、ティントで全てを捨てて逃げ出すルートの哀しさは今後もたびたび思い返すことになりそうです。IもIIも「子供が戦乱に巻き込まれ、大人の都合で担ぎ上げられていく物語」で、Iの頃からその構図のうしろめたさみたいな視点はあったと思うんですが、IIはそれをはっきり主軸として押し出してきた感じでした。I主人公が反乱軍のリーダーに持ち上げられていく姿を間近で見てきたフリックやヴィクトールはII主人公に対しても思うところがあった様子だし、冷徹な作戦をどんどん出していくシュウも根っこのところで自分たちのしていることがどういうことか分かっている。一方で、いくら才覚があっても似たような年齢の子供であるアップルには「子供が戦うこと」の意味合いがかえって掴めず、逃げ出そうとする主人公の気持ちを理解できなかったりする。キャラクターの軸がすごくしっかりしてるな……と思います。

 ドット絵の表現も素晴らしかったです。「古き良き美麗なドットグラフィック」の例として挙がりがちなのはスクウェアSFC最終期のFF6ロマサガ3バハムートラグーンあたりだと思いますが、幻想水滸伝のドットにはまた違った魅力があって、とにかくキャラクター表現が豊か。それもマンパワーをかけて汎用的な感情表現差分を数多く用意するというのいうのとは違って*1。場面場面に合わせてキャラクターに「演技」をさせるための一品もののドット絵がびっくりするくらい細かく手作りされている感じでした。

 例えば特定のシーンでしか使われないお酒を酌み交わすの絵、特定のキャラ同士が握手する絵、特定のキャラが特定のキャラを引きずる絵……。本編での出番がほとんどないようなキャラでも、居酒屋の卓に座って飲んだくれているドット差分が用意されていたりして、ほんの1枚のドット絵がそのキャラクターの性格や立ち振る舞いをとても見事に表現している場面がいたるところにありました。ここまで見事なドット表現の使い方、私の記憶の中では他にちょっと思いつかないくらいですね。

 IIをやったら当然IIIも……という流れになりそうなものなんですが、色々な話を聞く感じこのシリーズの開発体制はIIの頃が最高潮だったみたいな事情も見えてくるので、ここから先どうすべきかなーというのはちょっと思案ポイントです。とりあえずここから先は開発スタッフが再集結する『百英雄伝』を本命に見据えつつ、ほかの幻水シリーズの方もちょろちょろつまんでいけたらな……と思います。

*1:そういうのは漫符とかで代用されてるので、むしろ少ない方かも