『クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子』西尾維新

クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子 (講談社ノベルス)
人間のクズばんざいー。
相変わらず、心の中で自分が人間のクズだと一割くらい信じている人にはたまらないという感じです。たまりません。これまでの中でいちばん前向きっぽくはありますけど、それも屑人間としての前向きさに他なりません。つまり塵は塵に。(誤用) まさに屑人間賛歌ですね。ページ数といい状況といい基本的に前二作よりも色々な要素が軽くなってますけど、屑人間の告白本としては『クビキリサイクル』と同じくらいの密度を保っていると思います。あとがきで「本書≪クビツリハイスクール≫には何のテーマもありません」とか言う西尾さんはきっと嘘つきなのでしょう。(または照れ隠し)
評判によるとどうやらこの巻から急にミステリー色が薄まるそうなので覚悟して読みましたけど、ええと、ぜんぜん杞憂でした。こんな仕掛けにもあっさり引っ掛かってしまう自分のおめでたい頭にはさすがに感心。誇れることではないし、恥じることでもありませんけど、幸せなことだとは思います。(つまり評判自体はその通りということですけど)