2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

批評するより感想書くほうが難しいと思った舞城王太郎『スクールアタック・シンドローム』

私たちは私たちの倫理観のあり方にある程度の定型を持っていますけれど、それに満足しないのが舞城さんなのかなと思います。虐め殺されたところから始まる友情とか、惨殺され続けることで確認する愛情とか。これは? これは? という風に、舞城さんは一筋縄…

『はじめての構造主義』がよく分からなかった人は『寝ながら学べる構造主義』を読めばいいと思った話

構造主義に関する入門書として最も有名な橋爪大三郎さんの『はじめての構造主義』はあまりにもレヴィ=ストロースさんの解説に寄り過ぎていて、レヴィたんが萌えるということはよく分かったけど結局あたまのいい人が「構造主義」って呼んでる概念はどう捉え…

『ドラマCD ひぐらしのなく頃に 暇潰し編』

3枚組。今回も内容みっちりです。細かい変更や省略はあるにしても、やはり原作に忠実で堅実な内容。文章で状況をしっかり描写した方が面白いところもありますけれど、声優さんの演技もやっぱり大きな力を持つもので、ここぞというときの瞬間最大風速は原作を…

『黒博物館スプリンガルド』

幕間の学芸員さんかわいい 外伝の女の子かわいい 初藤田和日郎さん。驚きました。登場するヒロイン格のキャラクターが、異様なまでに魅力的。何か特別なことをしているわけでなく、ただストレートに「かわいい」というだけなんですけれど、その単純的な表現…

『円環少女(4) よるべなき鉄槌』の業がどうしようもないので私はとても悲しいです

もう、「魔法使い」と「力を持たない人間」の"分かり合えないっぷり"が余りにも徹底しています。読んでいて、それがとても悲しいです。 無数の世界に、無数の世界観を持った魔法使いたちが生きているというのがこの作品の基本です。ここで言う「世界観」は、…

『MOON(1) 昴 ソリチュードスタンディング』

MOONというタイトルが、バレエの美しさによって月面人と心を通じ合わせるという壮大なエンディングへの伏線であっても、もう私は驚きません。 プロダンサー編が始まるときは、新天地での新しい舞台を環境から登場人物からと丁寧に描写し直していましたけれど…

『怪談と踊ろう そしてあなたは階段で踊る』

むかし竜騎士さんがファウストに載っけた前後編小説のコミカライズ。おおむねで原作どおりの展開に見えたんですけれど、最後の方に挟まれたたった一コマがやたら下世話な興味を煽って大変です。富竹涙目。 気合い入れて描いた画とそうでない画の落差が激しい…

流水大賞『エレGY』とフリーウェアゲーム文化の話

フリーウェアゲームサークル「アンディー・メンテ」。その主要メンバーである泉和良さんの作品が講談社BOXの流水大賞で優秀賞を獲得したという報は、私にとって昨年最大の衝撃でした。それから半年、ようやくじすさん=泉和良さんの小説を活字で読むことがで…

本日一信

パンドラVol.1 SIDEーB作者: 講談社BOX出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/04/08メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 6人 クリック: 195回この商品を含むブログ (46件) を見る 流水大賞優秀賞の泉和良『エレGY』のためだけに買いました。アンディー・メ…

『グランド・フィナーレ』

なるほど、こういう小説の書き方もありか、と目から鱗の落ちたような感覚がないでもなく。芥川賞だからというわけではないんですけれど、ストーリーから切り離した「文章」それ自体を用いて何かを表現しようとしている点で、意外と円城塔さんの作品に通じる…

『GOTH』

ごすと言えば今ではごっすんごっすん五寸釘ですけど、かつては乙一という作家がミステリー大賞を受賞した妖怪大戦争小説のことをを指したのですよという老人のたわ言は本当ですかコミカライズ。大岩ケンヂさんの漫画は初めてですけど、やっぱりいい絵を描き…

『φは壊れたね』

壊れたねって「壊れ種」で、φという字は種がまっぷたつに割れていることを示してるんだろうなーとずっと思ってたんですけれど全然そんなことはありませんでした新シリーズ第一作。 森さんの今回のテーマは洗練なのでしょうか。薄味になったとは思わないんで…

本日一信

なにごともなかったかのように。