『怪談と踊ろう そしてあなたは階段で踊る』

怪談と踊ろう そしてあなたは階段で踊る (シリウスコミックス) (シリウスKC)

 むかし竜騎士さんがファウストに載っけた前後編小説のコミカライズ。おおむねで原作どおりの展開に見えたんですけれど、最後の方に挟まれたたった一コマがやたら下世話な興味を煽って大変です。富竹涙目。

 気合い入れて描いた画とそうでない画の落差が激しいので粗が目立ちますけれど、静の緊張感を描くのが上手い作家さんだと思います。部屋の中で誰も口を利かずに睨み合いして、空気が張り詰めていく感じ。ただ、緊張がいざ臨界点に達し爆発したときの描写はこなれていなくて、最終的な良さを殺してしまっている感もありました。ラストなんかは、そもそも原作からして拭いがたい違和感があったりはしましたが。

 同年代の女子を問い詰めるのにですます調を使う主人公にも、ちょっと違和感がありますね。友達と会話してるときなんはまったく普通の口語体なだけに、急に探偵然として尋問にかかると、何かの真似事かと思ってしまいます。これも原作に準じているだけなんですけれど、絵があることでそのシーンの違和感が増してしまっていたのかなと思います。