鬼隠し編 其の弐「隠しごと」

と・み・た・け! と・み・た・け!
綿流し祭は超加速で終了。そして時報が鳴り、物語は非日常へ。いろいろと原作では重要だった伏線を端折りつつも、ちゃんと「伏線⇔種明かし」の対応は逐一チェックされているようで破綻はありません。丁寧な仕事だと思います。トミーと部活メンバーの交流シーンが全面カットされちゃってたので、原作の「富竹さんと同じ目に……」のくだりはカットされてしまいそうですね。
ちょっと他の人の感想を見て回ったんですけど、原作未プレイの人とプレイ済みの人とで、反応が面白いほどスパッと真っ二つに分かれていました。未プレイの人が一様に「怖ええええええ」と怯えまくっているのに対し、プレイ済みの人は「原作ほど怖くない」と残念気味。まああの原作を知っていると、アニメ版のあっさりした表現が物足りなく思えてしまうのも無理はないかもしれません。とりあえず原作やってください。
でもこのアニメ版は、どうやら意図的にこういった抑えた演出がなされているようでもあります。特に例の「嘘だ!」のシーン。原作ゲームや漫画では、同シーンはかなり激しい演出がなされていました。立ち絵に細工したりカラー見開きにしたりして、その変化はかなり強烈で直接的、つまり不連続な変化によるショックがありました。一方、これがとても重要なシーンなのはアニメ製作側も十分理解していたでしょうから、こちらもやろうと思えば効果音や画面効果などでいくらでも派手にできたはずです。彼女の顔のアップだって、もっとめちゃくちゃに崩せたでしょう。ところが今回のアニメ版では、そういった目立った演出効果はあまり用いられていませんでした。変化は連続的で、緊張感はいきなり跳ね上がるわけでなく少しずつ高まる種のもの。完全に主人公視点で見ることにできた原作ゲームに比べてアニメはどうしても俯瞰的な視点になってしまいますから、それに合わせて演出も一歩引いたものにするというのがこのアニメの方針なのかもしれません。展開自体は忠実ですけど、その表現は原作とちょっと違う方向を向いている様子。まったく同じものを求めるのではなく、「これはこれでこういうもの」として見ればより楽しめるのではないかなと思います。