『ひぐらしのなく頃に祭 第参章 綿流し』

ひぐらしのなく頃に祭(通常版)

 序盤の共通ルートは原作の「鬼隠し編」ほぼそのままなので、「綿流し編」固有のエピソードのほとんどはルートが分岐してから発生することになります。そのため、原作で言うところの「鬼隠し編前半+綿流し編」という流れでゲームが進行していくので、日常パートがかなり長めになっています。初プレイ時にこのルートに入った人は共通ルートをスキップすることもできませんから、さぞや大変だったことでしょう。ナームー。

 演出面は「鬼隠し」編と比べると特殊効果少な目。つまりCG少な目。まあ色々と賑やかだった「鬼隠し」編と比べるとこの「綿流し」編は決定的な出来事がいつも水面下で起きてしまう静的なお話なので、あまり派手な演出でグリグリ煽るところでもないのかもしれません。

 全体を通して声の使い方に奇異を感じる部分が多いんですけれど、よく考えたらひぐらしは元々、声優の声を当てることなんて全く想定していない作品でした。ところがこのコンシュマー版も基本的には原作と一言一句同じテキストをそのまま使っているので、地の文のセリフを読めなかったり、ありえない擬声表現を無理矢理発音しなくてはいけなかったりといった不都合が生じてしまうのでしょう。

 その辺ちょっとテキストを整形するとかして声が自然に入れられるようにすればいいのに……と素人目には思うんですけれど、個人製作とはわけが違うのでテキスト一箇所いじるのにも結構な手間がかかってしまうのかもしれません。許可通したり何したり。その辺は、原作のような同人作品とはぜんぜん勝手が違うのでしょう。

 それでも、この作品が原作に差をつけられるいちばんのポイントは声優さんの演技だと思います。アニメやラジオドラマと違って、セリフがほとんどカットされていないのは大きいですね。その分、プレイ時間はますます長大化してしまうわけですけれど……。