2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧
「ゴールデンドロップ」という紅茶用語があります。人間を万力で締め上げて血を採取する時、限界まで搾りきった最後の最後でしたたる一滴のことをこう呼ぶそうですが(えー)、どうも萩原さんのこの作品もそういう境地を目指しているような気がします。 萩原さ…
地の文がなく、会話劇と独白劇で構成された異色の短編集……といいたいところですが、小林さんの小説ではこういったスタイルが頻出するので別に珍しくもありませんね、はい。「相手と話がぜんぜん噛み合わないのだけど、向こうの意見にも一見矛盾が見あたらな…
な、なんじゃこりゃ。 ほとんど同じ文章の細部だけを変えながら何度も反復する、というスタイルが徹底された長編。やってることは完全に実験小説です。でも流石は昔からこういうことを繰り返してきた筒井さん、「実験小説」という言葉のイメージにそぐわない…
意味が理解できないにも関わらず、なにがしかの名状しがたい感情を喚起されずにはいられない、そういう作品を読めるのは嬉しいことです。それを必ずしも分析して明文化したいとは思わないんですけれど、現に喚起されるその感情を見過ごさず、なるべくそのま…