筒井康隆

『ダンシング・ヴァニティ』

な、なんじゃこりゃ。 ほとんど同じ文章の細部だけを変えながら何度も反復する、というスタイルが徹底された長編。やってることは完全に実験小説です。でも流石は昔からこういうことを繰り返してきた筒井さん、「実験小説」という言葉のイメージにそぐわない…

『大いなる助走』

直木賞に落とされた腹いせにで描かれた怨念渦巻く一冊。という触れ込みで語られることが多いですけれど、彼らが登場するのは後半になってから。それまでは、同人ブンガク作家たちのどうしようもなさが嫌な感じの生々しさでねちねちと描写されていて、こちら…

『文学部唯野教授』

大学教授の非常識っぷりを風刺的に描いた、文学批評の入門書としても使えるナンセンスギャグ小説。基本的には大学のしっちゃかめっちゃかな日常がえんえんと描かれていくんですけれど、各章のラストには唯野教授による文芸批評の講義が挿入されます。印象批…