絶対続編出てほしい(のでみんな買ってほしい)、『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』
ホラーとミステリをいい具合に配分した推理ADV。今年のGWのメインにと前々から楽しみにしていたゲームですが、たいへん面白かったです! 伝統的な推理サウンドノベルの仕組みを踏まえた作りだと思いますが、プレイヤーの理解度とシナリオ展開を程よくリンクさせて気持ちよく読み進められるような工夫が随所に凝らされていて、この分野の洗練を感じました。
なるべく予備知識なく遊ぶのが面白いタイプのゲームだと思うのでお話的なところにはあまり触れません*1が、情報開示のスピードがとにかく小気味良かったです。察しのいいプレイヤーが「こういうことかな?」と仮説を組み立てたくらいの段階で早くも「正解!」と答え合わせをしてくれて、すぐさま新たな謎も提示して話を引っ張ってくれる、絶妙のテンポ感でした。「え? もうそこまで話し進めちゃうの?」と驚く場面も多々ありましたが、既に察しのついてるような話を引っ張るよりもドンドン進めてくれた方がありがたいというのもそれはそう。この展開の速さ、出し惜しみのなさは本作の大きな魅力でした。
システム的には推理ゲームなので要所要所でプレイヤーに推理を求めてくるんですが、ヒントを分かりやすく提示してくれるので後戻りして一生懸命答えを探して回る必要は少なく、大抵は「ここまでの話、ついて来れてるよね?」とプレイヤーの理解度を確認するような出題になっていました。そんなチェックポイントを随所に置くことで、作品全体のスピード感を落とすことなく、話に置いてかれそうなプレイヤーにも考える時間を与えてくれる、いい按配の調整になっていると感じました。
あんまり値段見てやりたいゲーム決めることは少ないんですが、それにしてもこの内容で2000円弱っていうのは驚きの値段設定ですね。たしかにボイスなし、止め絵中心の演出などコストを抑えた作りになっているのですが、そういうところも作品の長所であるテンポ感に貢献しているので物足りなさは感じません。ボリューム的にも大長編というわけではありませんが、限られた分量の中でかなり密度の高い体験が得られたので、非常に満足感がありました。本作はシリーズ化を想定した採算度外視の第一弾らしく、次が本番という構想もあるらしいので、ぜひ流行ってもらって次回に繋げていただきたいです。