2009-01-01から1年間の記事一覧

本日一信

うみねこEP2 再プレイ考察メモ EP4までのネタバレをふまえて、EP2を再プレイした時のメモ。実際にプレイしてたのはEP5発表前の8月だったのですが、公開はだいぶ遅くなってしまいました。文字数としては4万字。私が今までに書いたあらゆるテキストを上回って…

ウィンプのルサンチマンがルサンチマッチョを生み出す! うごご!

関連:悪しきマッチョは老害と似ている - 魔王14歳の幸福な電波 普段はウィンプとして生きている人が、マッチョになったつもりでマッチョの論理を振りかざし、同じウィンプたちを攻撃する。それが匿名の怖さのひとつなんでないかなー、と思います。ルサンチマ…

未知なる倫理への問いかけ - 『エンダーのゲーム』オースン・スコット・カード

基本的には"恐るべき子供たち"的な話。異星からの侵略生物「バガー」に抵抗する人類の最後の希望として、わずか6歳で過酷な軍人育成学校「バトルスクール」に放り込まれた主人公エンダー。特別待遇の自分に対するチームメイトたちの嫌がらせ、学校が自分にだ…

悪しきマッチョは老害と似ている

老害は既得権益を保持してますから、世の中を現状をよくしようとしなくても食べいけます。そして老い先が短いから、将来の可能性を潰すようなことをしても、彼ら自身は損をしません。若い人たちの立場に立っても何ひとつ得しないから、それを平気で度外視で…

本日一信

はてなブックマーク - Twitter / kanose: 「ポニョ! 自意識 だいすき~!!」はてなには人の自意識が大好物な妖怪で溢れてます。その妖怪は犬やシロクマの形をしていたりします 「ネットバトルに時間を割くあの人たちの心の裏にはどんな自意識があるのでしょ…

『ライトクリエイターズ vol.2』にひぐらしうみねこ対談が掲載されます

コミックマーケット(C77)・『ライトクリエイターズ Vol.2』頒布告知 - 萌え理論ブログ 冬コミ3日目の「西1ホール "れ" 22-a」(壁!)、萌え理論Blogは天野年朗さんのブースにて頒布される新刊、『ライトクリエイターズ Vol.2』に、天野さんと私のひぐらし・…

ダウンタウンのリアルブギーポップ

Twitterのログを日記に貼って更新の省力化を図るテスト。わりと大事なこと言ってもそのまま流れちゃうことが多いので、防備的な目的も兼ねて。 魔王予言:来年はダウンタウン演じるきたならしい「リアルブギーポップ」が大ブレイクします。posted at 20:11:38…

屍鬼(5)(6)

なんか趙公明みたいなんがおるー。変なおじいちゃんおばあちゃん描いてる時の藤崎さんのイキイキっぷりも異常だし、まさに絶好調という感じでございます。 なつのん 夏野さんがああいう状況になることで、物語の視座が90度くらい変わりましたね。3巻終わりあ…

『Q.E.D. ―証明終了―(23)』

金田一君やコナン君などととは一線を画し、ガチガチのミステリ小説読みの人たちにまで異様に評判のよい推理漫画。どの巻から読んでも大丈夫、ということで一冊買ってこさせたのですが、適当に選んだ巻でもこの水準というのはなるほど、噂に違わぬハイレベル…

音楽的文体 - 古野まほろ『探偵小説のためのエチュード 水剋火』

陰陽師も百鬼夜行もトラペドヘゾロンも象徴哲学も出てくるけど、やってることはガチガチの本格推理小説という恐るべき作品。同作者の天帝シリーズと比較すると、ページ数が半分以下ということもあって手加減してる感はありますが、手加減してコレというのは…

『冷たい校舎の時は止まる』

メフィスト賞受賞作。超常現象閉鎖空間に隔離された高校生たち、七人のはずなのに八人いる! この前クラスメイトの誰かが自殺してたはずだけど記憶いじられて思い出せない! 自殺したのは誰だ! お前か! みたいな話。いえ実際はそんな攻撃的な内容では全く…

ヤンデレが狂ってるんじゃない、作者が狂ってるんだ - 『唐傘の才媛』緋鍵龍彦

くるってる……。 知る人ぞ知るヤンデレ漫画、というのが読む前の印象でした。緋鍵龍彦さんというちょっと頭のおかしいエロ漫画家さんがいるという話は聞いていたので、一般紙に媒体を代えてさぞやいいヤンデレが見られることでしょう……と期待してはいたんです…

『老人と海』

人間賛歌。であると同時に、人間の尊い努力の跡は、ほとんど誰にも気づかれることなく過ぎ去ってしまうという話でもあるのだと思います。ただし、数は少ないながら彼の戦いを知る人も確かにいて、そういう人の心の中にはしっかりと残されるものがあるのでし…

『イメイザーの美術』

これはいのちの美術。無垢なるたましいの魔術。 作中の言葉の引用。変に粗筋とかを書くよりも、この言葉が最も適切に作品のイメージを表してるように思います。 基本的には子供のいる世界の不思議を柔らかな筆致で描きつつ、ライトノベル風味の設定をふりか…

ピンボールの他には何もない世界 - とよ田みのる『FLIP-FLAP』

テーマはピンボール。ほとんどの読者がさっぱり知らないであろうマイナーゲームを主題としつつ、読み終わる頃には「そのゲームがやりたい」という気持ちにまで持って行ってくれる漫画です。それだけでも、本作の表現力は相当なものなのだと思います。 目的な…

『ジャイアントロボ 地球の燃え尽きる日(2)』

あの中条長官が素で「こうなるなら大作少年の命だけでも…奪えれば良かったものを〜〜!」とか言っちゃうジャイアントロボ第二巻。「地球の制止する日」と異なり国際警察陣営も悪い顔の人ばっかりで、元々の敵であるBF団に国際警察を加えて挟み撃ちにされちゃ…

『マーダーゲーム』

人狼ゲームをモチーフとした推理小説。ゲームルールは大幅に再構成されていて、占い師や狩人といった特殊ジョブがないぶんロジックはシンプル。ただし現実の小学校を舞台にした長期ゲームになっており、各メンバーのアリバイ等が問題になってきたりもするの…

『ジャイアントロボ(1)』

じ、自分が何を読んだのか理解できない……。 そもそも今川版ジャイアントロボ自体、横山光輝さんの数多くの作品をごった煮にした編集的キメラ創作物だったわけです。このコミカライズは、その今川版をさらにかき混ぜて善悪ひっくり返したような内容。もの凄い…

『レクイエム 私立探偵・桐山真紀子』

26人が死亡した幼稚園バス爆破事件、という強烈な要素を中心に据えた作品。一見派手な惹句ではありますが、爆破事件の惨状そのものよりも、事件後の遺族に多くの描写を割いた作品です。 あまり遺族一人一人の内面に踏み込むような描き方はされておらず、探偵…

うみねこは巧いか下手か/竜騎士07は天才ではない

軽く。*1 うみねこは巧いか下手か http://d.hatena.ne.jp/kaien/20091107/p1 この記事で海燕さんが使っている「下手」という言葉は、細部を削って大筋を捉えれば「過去に蓄積されてきた既存の手法に従っていない」ことを指すのだと思います。脚本術のメソッ…

情景は時にテーマに勝る - 高橋しん『きみのカケラ』

5/9 5巻で完結だと勝手に思い込んでたら普通に続いてた……。7巻までは既刊で、完結は9巻の予定とのこと。既にいつ終わってもおかしくないような「おしまい」の雰囲気が漂ってるんですが、意外と長いこと続くんですねえ。 テーマ<情景 やっぱり、たしかな筆圧…

『スカイ・イクリプス』

『スカイ・クロラ』シリーズ外伝。「キルドレでない人物の視点」をも交えて語られる、外伝ならではの異質な短編集。 と言いつつ、実はあまり異質すぎる感じがしなかったのが面白いところ。本作の不思議な空気感は"永遠の子供"であるキルドレの精神形態による…

『鉄球王エミリー 鉄球姫エミリー第五幕』

友桐夏さん以来、実に数年ぶりに「この人の作品は追いかけよう」と思うことのできたライトノベル新人作家さん。そのデビュー作シリーズの、見事な完結編でありました。 1 ライトノベルの戦記ものはなかなか数が少なくて、たとえ戦争が起きても「メインキャラ…

大甲冑というシステム - 『戦場のエミリー 鉄球姫エミリー第四幕』八薙玉造

重量級ライトノベル 「軽い小説をライトノベルと呼ぶ」という認識の当てはまらない作品が、時々あります。本シリーズはまさにそれ。「重量級ライトノベル」の名にふさわしい作品です。 今巻の大筋としてのシナリオ展開は、大きな意志決定(による行動選択)が…

『円環少女(6) 太陽のくだけるとき』

1 400ページ読むのに8時間かかったライトノベル。*1 初期は読みにくい読みにくい言われてた文体もかなり改善されて、「悪文ゆえに読解が阻害される」ということはほとんどなくなりました。文章密度も、ちょっと濃ゆめではありますがライトノベルの常識範囲。…

『クレィドゥ・ザ・スカイ』

これまでの巻にも増して、茫洋とした感覚に包まれた一冊。主人公は自分が誰だか分かっていないし、現実の中に幻を目撃するし、なによりまともな記憶を持っていません。そして、繊細な筆致と意図された情報制御によって、読者もまた主人公に近い意識状態にシ…

史上最低の東方クソゲー二次創作 - 『さなえチャンは囚われてしまった!』

作者本人に「オラッさなトラの感想書けよっドンドンドン」って自宅に押し掛けられてなんか怖いので感想書きます。この記事タイトルを指定したのも作者本人です。いい釣りタイトルですね。ひどい。 http://www.geocities.jp/erguhh/sanatora/ なんだこりゃク…

『来訪者』

裏表紙紹介によると、優雅で刺激的な艶笑譚とやら……つまり下ネタ短編集。 刺激的というのはともかく、優雅かというとこれはかなり疑問で、表題作の主人公であるオズワルド氏なんかはたいへん独善的で差別的な御仁です。エジプト王族の愛人を寝取り、追ってに…

偏在する"私"の視点 - 『この世界の片隅に(下)』

非常に長い長い作品を読んだという印象があったので、一冊あたりがほんの150ページ程度で構成されていることに後から気づいて凄く驚きました。読んでる間の没入感が本当に凄くて、読み始める前と読み終わった後の自分の時間が不連続に感じられたほど。"漫画…

『この世界の片隅に(中)』

かぎりなく尊い日々を描いているというただその一点だけにおいても、本作にはひとつの作品としての価値があるのだと思います。けれどその日々には、もうひとつの不可分な要素が常に影を潜めています。それをどう受けとめればいいのか、中巻を読み終えた今で…