『Q.E.D. ―証明終了―(23)』

Q.E.D.証明終了(22) (講談社コミックス月刊マガジン)

 金田一君やコナン君などととは一線を画し、ガチガチのミステリ小説読みの人たちにまで異様に評判のよい推理漫画。どの巻から読んでも大丈夫、ということで一冊買ってこさせたのですが、適当に選んだ巻でもこの水準というのはなるほど、噂に違わぬハイレベルな作品なのだと思います。

 収録されている作品は「春の小川」と「ベネチアン迷宮」。両作品を読んだ印象から推測するに、作者は雑学・蘊蓄まで含めた膨大な範囲の情報を把握した上で、それらを素材とした的確なロジック構造を素早く構築する力があるのでしょう。奇想的なアイデアを大量に生み出す、というタイプの作家ともまた違うようですが、たまに閃いた優れたアイデアを大事に練り込んで上質に仕上げる術も持っていそうなので、そこで「常に一定以上の水準で、しかもたまに大当たりが出る」という評価になってくるのかなと思います。

 画の方はぱっとしないという意味で「標準的」なのですが、主役の少年少女二人組よりも脇役のおじさま方の絵の方が気合い入れて描いてるように見えるのは面白いですね。線の少ない子供たちの顔よりも、輪郭や皺に特徴のある年配の人の顔の方が立体としてのバランスが取りやすいのかもしれません。(単に、主人公たちの顔を描き飽きただけかもしれませんが……)