未知なる倫理

『アムリタ(下)』

上巻感想 基本的に上巻と同様の感想。今巻ではよりストレートなオカルト要素が増えましたけど、感覚・認識面の特性がいきなりオカルト方面に飛んでいったのではなくて、舞台に上げる描写の対象をそっち側にシフトさせただけかな、と。むしろ、そういうストレ…

『アムリタ(上)』

初吉本さん。少々スピリチュアルっぽい視点から語られる、日常の話。ここで「スピリチュアル」という既存の言葉を使ってしまうのはかなり乱暴かと思うんですけど、他の表現も思いつかないので、あくまで比喩として「スピリチュアルっぽい」という表現をして…

外倫理への淡々としたまなざし - コードウェイナー・スミス『ノーストリリア』

長年探し求めてきたノーストリリア! これが新刊で読めるなんて、ほんまええ時代になったもんです……。 未知なる倫理 本作には、大きく二つの社会が登場します。一方は、英国の君主制を起源としているらしい(ただし肝心な女王はここ1万5000年ほど不在)、長寿…

『泰平ヨンの航星日記』

航星日記。といっても、ワープやら波動砲やらといった超科学はあまりなし。人間のアイデンティティを脅かすミもフタもない物理現象、あるいは人類の慣習や倫理観から外れた文脈に存在する異生命たちの社会や生態、等々々。 大地に自生する家具やら、凶暴化し…

未知なる倫理への問いかけ - 『エンダーのゲーム』オースン・スコット・カード

基本的には"恐るべき子供たち"的な話。異星からの侵略生物「バガー」に抵抗する人類の最後の希望として、わずか6歳で過酷な軍人育成学校「バトルスクール」に放り込まれた主人公エンダー。特別待遇の自分に対するチームメイトたちの嫌がらせ、学校が自分にだ…