『ひぐらしのなく頃に祭 第弐章 鬼隠し』

ひぐらしのなく頃に祭(通常版)

 原作では最初の編に当たる鬼隠し編。何度も言うようですがKのアホー。

 漫画、アニメ、ドラマCDなどを含めるともう十回以上この『鬼隠し編』を見てきているので、このコンシュマー版で初めてひぐらしをプレイするという人が一体どんな感想を抱くのかは、正直もう想像もつきません。なので、この記事は基本的に原作ファンの視点からみた感想です。

 テキストについては、極力原作通りでいく方針のようです。誤字の修正と、規制に引っかからないための表現変更はありますけれど、それ以外の目立った変更は今のところ見つかりません。一言一句そのままーという感じ。あと原作で不自然だった箇所の辻褄合わせというか、圭一さんが大石さんに連れられて入ったレストランがエンジェルモートでないことが明言されていましたね。

 演出は主にCGの挿入によって強化されていて、これがまた結構画面効果で動いたりするので迫力はあります。ただ、せっかくコンシュマー化して色々出来るはずなのに、演出がCGに頼りすぎという印象もあります。具体的には、音の使い方が気になります。

 たとえば、数人のキャラクターが一定時間狂笑し続け、主人公が恐れおののくというシーンがあります。こういったシーンでは、地の分が表示されている間にもバックグラウンドで笑い声を流し続けるのが自然な演出かと思います。実際、ドラマCD版ではそういう演出が行われていました。

 でも、本作では台詞のカギカッコの中だけに忠実に声優の声が当てられています。だから、カギカッコの箇所で一定時間笑い声が流れ、それが止まって次の文章が表示され、次のカギカッコが表示されると再び笑い声が流れ出す……という、ちょっと奇異な印象を受けてしまう演出になってしまっているのです。バックグラウンドで声をループさせるのは技術的に少し面倒な箇所なんだとは思いますけれど、一点違和感のあった箇所でした。

 他には、何者かが息を吸う「ひゅうっ」という音が突然背後で聞こえるという、お話的にもけっこう重要なシーンがあります。ここはどう考えても声を当てた方が怖くなるだろうと思うんですけれど、おそらくは「地の文の箇所だから」*1という理由で声が当てられていません。後は、例の「それだけが私の望みです」の手紙に声が当てられていなかったり。何にしても、音の使い方がちょっと機械的すぎるかなというのが今のところの印象です。

 あとratoさんの絵について。いかにも美少女ゲームといった感じでこざっぱりしているんですけれど、そのためにホラー的な迫力が減じていると評価されてしまうのもやっぱり仕方のないとろこでしょう。

 何度も言ってるんですけれど、竜騎士07さんの絵柄は土着ホラーとの親和性が高いんです。上手いとか表現力があるとかではなくて、単純に"たまたま"合ってるんです。たとえば熟練の萌え絵師さんのイラストと、精神を病んだ幼児*2に描かせた心象画と。二枚並べてどちらが怖いかと問えば、それは後者の方が怖いでしょう。

 ただし、土着的恐怖がもっとも色濃いのはこの鬼隠し編で、先に進めば進むほどその性質は薄れます。原作でも終盤に入る頃には、竜騎士07さんの絵柄と作品の雰囲気との関わりはそれほど重要ではなくなっているように思えました。本作も後半にはオリジナルの編があるそうですし、ratoさんの絵柄が活きてくるような展開を期待したいです。

原作感想は↓このへん

*1:背後で「ひゅうっ」という音が聞こえた、みたいな書き方になっているのです。

*2:竜騎士07さんが病んでるという意味ではないですよ