曽田正人

『MOON(1) 昴 ソリチュードスタンディング』

MOONというタイトルが、バレエの美しさによって月面人と心を通じ合わせるという壮大なエンディングへの伏線であっても、もう私は驚きません。 プロダンサー編が始まるときは、新天地での新しい舞台を環境から登場人物からと丁寧に描写し直していましたけれど…

『昴(11)』

なんかふかわりょうみたいな人が。がが。 今回、すばるさんがバレエを踊るエピソードはほとんどありません。でも彼女がこれから歩む鮮烈な一生を示唆しているという意味では、これまでで最も凄絶な巻だったと思います。 バレエを極めることと引き換えに作者…

『昴(10)』

ぞ〜ん(佐野史郎) 真奈さん再び。すっかりヤムチャ。彼女がすばるさんの一挙一動に驚いたり解説加えたりしてくれてるのを見ると安心しますね! 相変わらず足引っ張りたいんだか応援したいんだか分からない(でも結局最終的には応援してる)言動が微笑ましいで…

『昴(9)』

そして遂に明かされるすばるさんの性癖……! (ちがいます) すばるさんは不安定な主人公でした。気まぐれなその言動は読者にはなかなか予測不可能で、ともすれば一貫性がないようにも思えるものです。 「何らかの理由で言動の不整合が起こりやすいキャラクター…

『昴(8)』

八巻にして遂に……と言うべきなのでしょうか。ようやくにして、主人公すばるさんが「自分以上の才能」によって蹂躙される時がやってきました。 ここまで実に八十数話、第二部も半ばとなったこのタイミングで、やっと"ライバルらしいライバル"の登場です。すば…

舞台の上で幸せそうに踊ることがどんだけの囚人を無気力にしているか考えろ - 曽田正人『昴(7)』

タイトル通り。ぎゃー。一生外に出られないような囚人もいる刑務所での慰安公演という特殊な状況なのでテーマを目立たせやすかったですけれど、実はどんなところにも普遍的に存在することなのかもしれません。 こいつ……試合中に成長してやがる! 的展開が続…

『昴(6)』

開始早々、ニューヨークでひったくられていきなり無一文! 栄光の内に終わった第一部の「高みにいる」感をリセットし、もう一度最底辺からスタートするんだということを印象付けるいい演出だったと思います。 そういうわけで雰囲気はがらりと変わり、ストリ…

『昴(5)』

一冊短すぎ。集中力のない私はご本を読んでるときもしょっちゅう「あと何ページくらい残ってるのかな」とか確認してしまうんですけれど、本書ではそれが一度もありませんでした。気が付いたら最後のページになってしまったという、まさに一気読み。そのくら…

『昴(4)』

うああ。遂に目の前に現れた「自分より強い他人」という壁との戦いが描かれるのかと思っていましたけれど、お話はそんな甘いものではありませんでした。なんか主人公すばるさんが手の届かないところに行ってしまった感。 彼女って、ここまでひたすら「自分自…

『昴(3)』

主人公すばるさんの才能を「魅せる」ために描かれた作品なのだと思います。今のところ、キャラクターなどを含めた全ての要素は主人公の「凄さ」を引き立たせるための配置になっています。単体で映える脇役キャラというのがいないわけですね。 今巻で焦点が当…

『昴(2)』

幼少時代を描いた一巻から時間は進み、十五歳の昴さんが描かれています。とても中学三年生には見えませんけどそれはそれ。 緊張感のものすごかった一巻と比べると、「バレエの道に進む」と決めて一直線に歩み始めたこの二巻には軽快さがあります。どうやって…

『昴(1)』

現在未完のバレエ漫画、という以上の予備知識が全くない状態で読んでいます。"バレエ"という芸術自体についてもよく知らなくて、「マリア・カラスって凄いんですよね」とかそのレベルの酷い認識から。 「難病の弟を元気付けようとする主人公」「主人公の才能…