『昴(11)』

昴 (11) (ビッグコミックス)

 なんかふかわりょうみたいな人が。がが。

 今回、すばるさんがバレエを踊るエピソードはほとんどありません。でも彼女がこれから歩む鮮烈な一生を示唆しているという意味では、これまでで最も凄絶な巻だったと思います。

 バレエを極めることと引き換えに作者が彼女に示した道は、あまりにも冷酷なものでした。こんな主人公像を作り出し、一切の甘えを許さず妥協なく描ききることは、酷く神経に堪える仕事であったでしょう。ひー。

 この巻を最後に、作者は長く筆を止めていたようですけれど、それも分かる気がします。筆を置いている間に先の構想を練っていたのか、先を考えることをやめていたのかは分かりません。でもいずれにしろ、この先の展開はタメもなしにいきなり描きはじめることが躊躇われるほどに未知の領域なのだと思います。

 この巻で示されたすばるさんの生き方がこれからも貫かれるなら、この先の展開はさぞや苦しいものとなるでしょう。彼女の行く末を見届けようとすることは最早苦行ですらあるかもしれません。なにより10巻ではアレをやっちゃいましたし、ほんとにもうこれ以上何を描けという状態。それでも再開された連載には、やっぱり期待してしまいますけど。

 ところで描写があまりにも大人びてるので忘れそうになりますけれど、すばるさんって確かまだ16歳かそこらですよね。……ひ、ひー!