『GOSICK IV -愚者を代弁せよ-』桜庭一樹

GOSICK (4) ゴシック・愚者を代弁せよ (富士見ミステリー文庫)
ドリルー。
ヴィクトリカさんとアブリルさんが顔合わせ。久城さんとの三角関係で、陰湿でねちっこい貴族的階級にありがちな女の戦い(椅子に画鋲的な)が繰り広げられるんじゃないかと心配してましたけど、そんなことはなくて安心。いいですね、実に健全。特にアブリルさんがヴィクトリカさんに接する態度はとても微笑ましくていじましいです。いい子ですよアブリルさん。第二次世界大戦で死んじゃいそうなくらいいい子です。(不吉)
お話の方も相変わらず綺麗にまとまっています。いわゆる「犯行トリックを解くことがミステリーだ」という読み方をすると手応えはないでしょうけど、桜庭さんの作品はいつも犯行の動機や過去の事件の真相まで、その事件の背景世界自体を想像できる書き方がされています。(つまり、たとえば森博嗣さんの作品によく出てくる「他人の思考は知りようがないから、動機なんて考えても仕方がない」という理屈はこの場合当てはまりません) あと作中で何度か登場する「屁こきいもり(ニュート)」という単語をどうしても「ひきこもり(ニート)」と読んでしまうのはなぜでしょう?