『AIR』Key

AIR
というわけで一通りクリア。奇跡的な傑作ですね。往人さんが優しすぎます。しかもラーメンセット。アニメも傑作でしたけど、それだってこの原作があってこそのものでしょう。
TV版で見逃した部分も補完でき、お話のおおまかな流れがようやく理解できました。アニメと違ってテキスト量が半端ではない分、原作の情報量はやっぱり多いです。TV板を見たときはファンタジーだと思ったんですけど、これってむしろSFですね。そらの存在なんかが特にSF。こういうのを叙情SFと言うのかなー、と何となく思った次第です。多分違うと思います。
このジャンルの他の作品に触れてないからそう思うだけなのかもしれませんけど、プレイ中は至るところで『ひぐらしのなく頃に』の文章を連想しました。会話の間に挟まれる地の文の書き方とかちょっとした情景描写なんかにしてもそうなんですけど、たしかに同じ流れを汲む作品なのだと思わされるところがあります。普段読んでいる小説とは、色々と根っこの部分からして異なるものがありました。そういえば、ときどき主人公の思考が暴走しちゃって、ありもしないことを数行に渡って妄想し続けるあたりにも同じノリを感じます。あとセミ
進むシナリオを変えちゃうと恋仲になる相手まで変わってしまって、おまけに他のヒロインの物語が未決状態になるのには違和感がありました。一人の主人公に対してシナリオごとにヒロインをとっかえひっかえするというのは美少女恋愛ゲームではごくごく常識的な発想なんでしょうし、システム上その形式を受け継いでいる『AIR』が同じ構造になってしまうのも仕方ないのかもしれません。でも、これじゃ往人さんが本物の女タラシみたいです。ヒロインが三人いるなら主人公も別々に三人用意して、主人公選択の時点でシナリオが分岐するー、くらいのことをしても良いんじゃないかという気もするんですけど、プレイヤー自身の擬似恋愛体験ものとしての需要があるうちはそういうのは難しいのかもしれません。
「がお」を違和感なく発声できる観鈴さんの中の人は凄いですね。「たまらんねー」とか「あかんよー」とか、春子さんの真似をして関西弁を喋ろうとするときの演技は神懸かってると思います。あとカブトムシの「ツガイツガイー」「仲良しだから水入らず」のくだりなんかも。ボイスありかなしかで、作品自体の評価もかなり変わりそうですね。