『幻影博覧会(1)』冬目景

幻影博覧会(1) (バーズコミックス)
探偵ものです。ただしミステリーじゃありません。かといってあんまりサスペンスでもなく、あくまでも淡々淡々でいつも通りの冬目さんという感じです。探偵ものってほとんどの場合は推理とかミステリーとセットになってるものですけど、本作はうまく探偵成分だけを抜き出せています。特に凝った謎解きがなくても、こういった雰囲気は出すことができるものなんですね……。
ということで探偵ものではあるわけですけど、主役二人の関係が不思議ですね。職業探偵の松之宮さんとその助手の真夜さんという構図なわけですけど、どちらが探偵役でワトソン役なのかと考えると面白いです。基本的に助手の真夜さんの方が勘が鋭く聡明なので、いろいろと松之宮さんにヒントを出して事件を解決に導くわけですけど、松之宮さんだって探偵としのて思考と行動をちゃんとまっとうしています。実は助手の方が職業探偵より冴えていて、職業と物語上の役割が入れ替わっているという構図はよくありますけど、両者が適度に活躍する探偵ものというのは珍しい気がします。(TRICKの上田さん山田さんペアとかもこれと同じパターンに当てはまるんでしょうか……)