『フラグメント』古処誠二

フラグメント (新潮文庫)
あうえああ。
最悪最悪。最悪の読後感を味わわせてくれる小説に挙げられても不思議じゃないくらい。こういうのは正直ダメ*1です。嫌いという意味じゃないですけど読み進めるのに勇気が必要で、けっこうなダメージになりました。麻耶雄嵩さんや沙藤一樹さんとは少し方向性の違う、もっと現実的なレベルでの痛みですね。
古処さんはメフィスト賞作家らしいですけど、評判で聞いていたとおり賞のイメージからはほど遠いですね。後に戦争ものを書くようになったというのも頷ける話で、本作を「地下防空壕で少年兵たちが〜」という設定に変えても雰囲気自体はあんまり変わらないという気さえします。意外性はありませんけど、ミステリー的な仕掛けに頼らずに読者の感情を揺さぶる力があると思います。

*1:ラストのところはわりと普通に読めましたけど、300ページ前後のアレには耐えられません。