『NHKにようこそ!』滝本竜彦

NHKにようこそ! (角川文庫)
タッキー二冊目。書かれたのはずいぶん昔みたいですけど、これ以来一冊も小説を出してないんですね。それであれだけの知名度を保っているのは逆にすごいと思います。
前作はそうでもありませんでしたけど、こっちはたしかに大槻ケンヂさんの影響が随所に見えました。「シャッターを押すぜ!」とか「シナリオを書くぜ!」みたいな言い回しは「ミシマ読むぜ」のノリですし、ひきこもり云々を抜きにしても主人公のダメ人間っぷりは『いくじなし』なんかに通じます。
幸い「イタい」とまでは思わなかったものの、いつかやらなければならない問題をそうと分かっていながら限界まで先延ばしにする心理には、とても生々しい実感を覚えてしまいました。精神衛生に良くないです。というか心に悪いです。電波ですね。嫌ですね。
そういえば、どんなにダメな人でも本当の限界が来ればアルバイトくらいはするものみたいですね。(働かなくて餓死したひきこもりの実例って聞いたことありませんし) 「アルバイトもせずにひきこもり歴何年」という人は一体どうしてその生活が維持できるのか長い間疑問に思っていたんですけど、本書を読んでようやく理由が分かりました。なるほど、要は家族からの仕送りを食い潰すというワザを使っていたんですか。ええと、*んじゃえ。