『子どもの最貧国・日本』

子どもの最貧国・日本 (光文社新書)

 タイトルはやや強調されたもので、先進他国と比べた日本の現状が無条件に最貧であるというわけではありません。それにしても、「児童貧困」問題に対する日本の無関心さは、先進国の中でも飛び抜けているらしいです。

 海外*1の貧困事情を資料としつつ、日本で深刻化している児童貧困をあぶり出す内容。なぜ日本の話をするのに海外の資料を使うのかというと、日本における自動貧困研究がそれほどまでに遅れているからという一因があります。

 巨大な格差問題を抱えつつも、長年の研究と対策により、少しずつ児童貧困問題を改善しつつあるアメリカ。一方、問題がほとんど認識もされないまま、密かに事態を深刻化させている日本。同じ貧困問題を抱えつつも、その姿勢は対称的です。日本の「子供観」の奇妙さが、また際だって見えてくる一冊でもあります。

 構成上、日本と外国どっちの話なのか一瞬把握できなくなるようなことがないでもありませんでしたが、全体の有益性を考えれば些細な話ですす。本当はここ
で紹介されてたこれを買ったつもりだったんですが、よく見たら違ったという。本書も統計情報がばんばん出てきますし、海外との比較という視点もあり、これはこれでいい本だろうと思います。

*1:特に著者自身のインターン経験があり、日本以上の児童貧困を宿痾として抱えているアメリカ。