『探偵儀式(I)』

探偵儀式 (1) (角川コミックス・エース)
無茶苦茶です。あとがきにある通り、反則をしつくしてます。『コズミック』や『カーニバル』の方がまだまともかも知れません。どうしてここまで原作を壊してしまうことができるのでしょう? 原作が流水大説という滅茶苦茶なものだからここまでの反則が許されたとも言えますが、既にあれだけ無茶苦茶で、無茶苦茶なまま濃く濃く凝固してしまったJDCの世界をもう一度ていねいに壊し直すなんて尋常な業じゃありません。
しかも……とても恐ろしいことですが、この作品は面白いです。世界の壊れっぷり、反則っぷりを楽しむというわけではなくて、純粋にお話として「清涼院流水を知らなくても楽しめる」のです。大塚さんの内輪ネタが多めに入っていたりはするんですけど、決してそういうものだけに寄りかからず、作品単体で売っていこうという意図が見えてきます。
もちろんJDCシリーズを念頭においた上で、そのパラレルとしてその壊れ様を楽しむという読み方もできます。噛ませ犬っぽくて格好悪いJDCや、ワイルドなあんちゃん風の九十九十九さん*1、おひげの素晴らしい総代などに興味のある人にもお勧めです。ハァレルゥヤァ。

*1:追記。彼が何かに似ていると思ったのですが思い出しました。サンソンさんです。『不思議の海のナディア』のサンソンさんがあのサングラスのまま前衛的な衣装を着たら九十九十九さんになるんです!