『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』

翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件 (講談社文庫)
麻耶雄嵩さん初体験。ぎゃー。やーらーれーたー。(いつもそれ)
木更津さんがまるで推理小説に出てくるような探偵で大いにアレでした。こんな探偵が本当に実在したなんて! 第一部の最終行があまりにも唐突で大笑いです。この作品も、何を書いてもネタばれになってしまう種のお話ですね。『ハサミ男』にしろ『ひぐらしのなく頃に』にしろこれにしろ、傑作と呼ばれる作品ってどれもネタばれの安全値が低いです。
読み終わった直後はこれがどうしてアンチミステリと呼ばれるのか分からなかったんですけど、んー、後々よく考えてみるとたしかにそんな気が。まずちゃんとミステリーとしての体裁を整え、のみならずその中で完結した解決を与えられる状況まで持っていった上で、まあ色々とアレしちゃうと。そのあたりが、最初からミステリーをやめちゃってる清涼院流水さんの作品とは決定的に異なりますね。*1
それにしても意外なことに、(って私が意外だっただけですけど)これってもう十年も前の作品なんですね。麻耶雄嵩さんにはメフィスト賞作家で、御大の流れを汲んでて、投げっぱなしで……みたいなもの凄く歪んだイメージを抱いていて、佐藤友哉さんや浦賀和宏さんや舞城王太郎さんと同じカテゴリに入れていました。ごめんなさいって言うかごめんなさい。

*1:比べてごめんなさい。