『ビートのディシプリン SIDE4』上遠野浩平

ビートのディシプリン〈SIDE4〉 (電撃文庫)
カーメン! カーメン!
はい、というわけで完結ですね。電撃hpで連載が始まった頃から数えると、もう四年くらいは経つわけですか。日月の流速に戦慄します。もはや最初の方がどんなお話だったのかおぼろげにしか覚えてません。モータル・ジムさんなんて能力すら忘れてましたけど、本巻ではずいぶん格好良く立ち回ってましたね。「やられ役で悪役の典型的な外道」という印象しかなかったので、ちょっと不意打ちでした。
そして遂に「カーメン」の正体が明らかになったわけですけど、結局「カーメンとは 〜 のことだったんだよ!」みたいにキバヤシさん的に分かりやすく説明されることはありませんでしたね。そういう解決もちょっと期待しましたけど、結果はやっぱり上遠野さんらしいものでした。
上遠野さんの作品を読むと、いつも釈然としない物足りなさを感じます。これは読者に分かりやすい解を与えず、常に抽象的で茫洋とした言い回しを用い、ついでに伏線を収束させる気もないー、という上遠野さんの基本姿勢によるものだと思います。「この世に絶対はない」と言ってしまうこの人にとってそういった寄る辺ない感覚は意図的なもので、それこそが彼の作風だとも言えるでしょう。すっきりとはしませんけど、この人の場合はもうこれで良いのだとも思ったり。
そういえばビートさんと朝子さんは、上遠野さんの作品の中ではじめてまともに絡んだペアですね。*1 表紙絵もらぶらぶです。お姫様抱っこ! でも抱っこしてるビートさんより抱っこされてる朝子さんの表情の方が凛々しいのはなぜでしょうか。

*1:織機さんと正樹さんには会話らしい会話がぜんぜんありませんし、他の連中にはそもそも脈がありませんし。最強&イナズマのペアは? とか言うの禁止。