『赤×ピンク』桜庭一樹

赤×ピンク (ファミ通文庫)
読みましたドットコム。
今の桜庭さんに比べて、読んでいるときに感じる摩擦係数がやや高かった気がします。『赤×ピンク』、『推定少女』、『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』、『少女には向かない職業』、『ブルースカイ』と並べると、何となく連続した遷移が見えてくるような見えてこないような。今もっとも"少女"をよく描写できる作家であるところの桜庭さんが、その最初期に"少女"からちょっと外れた女性を描いていたというのは面白いですね。
"檻"のように直接的な比喩を使い、それを物語にそのまま絡ませるのは桜庭さんにしては珍しいことだった気がします。物語的な問題と解決という意味では、桜庭さんの著作の中では本作がいちばん判りやすい作りになっていると言えるかもしれません。それにしても、高橋しんさんの絵は強力ですね。ここまで直接的に作品を規定する挿絵ははじめて見ました。