『巨人たちの星』

巨人たちの星 (創元SF文庫 (663-3))
第一作の『星を継ぐもの』が天体ミステリーなら、これは星間サスペンスですね。高橋克彦さんの『ゴッホ殺人事件』を宇宙規模にしたような。
とにかく「よき科学」が賛美されていて、節目節目で重要な発言をするのも高確率で科学者。(まあ主役と準主役が科学者なので当然といえば当然ですけど) 反面、第一作のように純粋な学問的面白さは減退して、一般的な意味でのSF分が増えたように感じました。当然のように人間賛美なんですけど、人類の過去の過ちに対して示された答は、そこまでするかと呆れてしまうくらい。信仰や迷信といった文化まで非合理な悪しき概念と断じられていて、ここまで来るともう好き好きですね。前二作と比べて一段とテーマ性が強くなっている、というのはたしかにその通りだと思います。話が大きくなって拡散したというよりも、やろうとしたことが前二作と異なるということだと思いますけど。
あとダンチェッカーさんはやっぱりツンデレでした。ハントさんって、ダンチェッカーさんに見せ場を完全に奪われてますよね。