『PLUTO (3)』

PLUTO (3) (ビッグコミック)
エプシロンさんがなんか美男子すぎますよ! ウランちゃんは最初の方はすごく小生意気でかわいくない描き方をされてたんですけど、後半は普通にかわいらしくなっちゃいましたね。なんか第一話のアラレちゃん的かわいさ。
この作品に限った話じゃありませんけど、浦沢さんは謎の真相を空かすタイミングが抜群に上手いですね。「黒幕の正体」のようなお話の根幹に関わる謎を、読者がほとんど身構えていない息抜きのようなタイミングでいきなりフッと明かしてしまいます。雰囲気は全然違いますけど、ミステリーとしてのこの特徴は恩田陸さんの作風と通じるところがあると思います。

今回、ロボットの権利に異を唱える思想が表面化して語られ始めましたけど、これは本当に難しい問題ですね。あのアトムくんやウランちゃんですら、言ってみれば「周りから観察する限りでは意識や感情があるかのように振舞っているけれどそれは全てプログラムされた反応であって、そこに感覚や意識はない」わけですから。アトム君やウランちゃんを自分たちと同等な一人の人間として捉えることは、ぶっちゃけた話、美少女ゲームのヒロインに生身の人間以上の愛情を抱くこととほとんど大差ないのです。ここで描かれている問題は本当に価値観・倫理観そのものの対立で、いくら互いが腹を割って話し合ったところで一意的な解が存在するとはとても思えません。手塚さんのアイデアなのか浦沢さんのオリジナルなのか分かりませんけど、ロボット排斥集団を黒人排斥集団KKKと重ねて描いているのはとても的を射ていたと思います。