月姫・東方・ひぐらしに並びうる同人ゲームは既に公開されている

というのはまあ、今さら偉そうに言うようなことじゃありませんね。市販ゲームのアベレージを軽々と越える*1同人ゲーム・フリーゲームは、ちょっと本気になって探せばネット上にごろごろしていると思います。このへん私より詳しい人が沢山いるでしょうから*2例示はしませんけど、たとえばローグライク*3は凄いらしいとかたまに聞きます。

ただし、そういった「隠れた良作」の多くはタイトルに挙げた三作のような広まり方をしません。もう既に散々言い尽くされてると思うので今さら言うまでもないかと思いますけど、上記三作の共通点は二次創作の余地を多分に含んでいたことです。優れたゲーム性はアイデア次第で比較的短時間に実現してしまう可能性がありますけど、広大なキャラクターや設定を内包した世界観*4は時間的な意味でなかなか作れるものではなく、継続的な制作活動が必要です。少なくとも、他ジャンルへの二次創作的営みを誰かが目にして、それがさらに広がって……的な展開は、ゲーム性に特化したシンプルかつストイックな「隠れた良作」ゲームが持ち得ない特徴です。ゲーム自体の魅力に加えて、絵師さんなどを中心とする別の二次創作的ネットワークによっても紹介されていったこと、これが上記三作とコアなゲーマー間でのみ語り継がれる作品との違いです。
と、ここまでが序文。こっから本題。

同人ゲームが広まるには「二次創作の余地」が必要と書きましたけど、この条件をクリアする作品すら、上記の三作以外にも実は存在はするんじゃないかと思います。というか、存在します。そういった広大な世界観を持つ作品に、一例だけ心当たりがあります。本当は私が知らないだけで、そんなもの他にいくらだって存在するぞばかやろー、とか言われそうですけど、とりあえず私が思い当たるのは一例。その一例を紹介します。
アンディー・メンテ*5なるサークルが製作している、一連のフリーゲームです。このサークルは現時点で百作以上のフリーゲームを公開しています。作品傾向は二つ。一方はパズルやアクションや意味不明な不条理ゲームといった、比較的軽いミニゲーム。もう一方は中毒性とゲーム的ボリュームという点で現状の市販作品を凌駕すると定評のある、やりこみ型RPG。これらの作品群はほぼ全てひとつの世界観の元に作られており、絵のある人間型キャラクターだけを数えても軽く百は越えるでしょう。当然萌えキャラあり。二次創作の余地は十分すぎるほど存在すると思われます。実際、狭い範囲ではありますけれどそういった動きはあります。そして何より、サークルの活動は十年近く前から始まっていて現在も進行中。ちょっと、特徴と言えそうな点を以下に箇条書きしましょう。

  • ゲーム的にどうか
    代表作にいたっては「RPGとしてロマサガ2並みに骨があり、やりこみという点でディスガイアに並ぶか凌駕する」と言っておきましょう。とりあえず夏休みくらいは軽く潰せます。ただし、最初の方でつまづく可能性大、というのが定説。合言葉は「死ぬな! そして1000回死ね!」です。
  • 絵が……
    ひぐらしを思い出してください! 絵師さんが二次絵を描き始めれば元絵とか関係なくなるんです! もしくは慣れ! ただしドット絵は普通にかわいいです。
  • 世界観
    コードウェイナー・スミスさんとかそのへんの古典SFが基本となってるようですけど、シリーズが続くにつれどんどんわけ分かんない方向に進化していまや混沌としています。「三十三人のスペシャリスト」なんて人たちもいて、月姫で言うところの「死徒二十七祖」的要素もあり。設定資料集としてのWikiが作れるくらいっていうかあります
  • ストーリー
    基本的にゲームの合間に挿入されるもので、テキスト量自体は東方と同程度。感覚としては『サガ』シリーズのそれが近いかもしれません。短く鋭い、刺すような感性です。猫とか子供とか死にます。
  • キャラは
    幼馴染とかショタとかウサギ耳とかふたなりとかまあ色々あります。「生粋の商売人でありなおかつ異教のシスターであるところの美少女マーラーちゃん」とか。あと猫。ただし別のところがもっと濃ゆいので、表面上のそういう記号性を感じてる暇がありません。
  • 音楽は
    人を選びまくる作風の中で、「音楽だけは人を選ばない*6」と評されます。ゲーム中に流れるのはmidi音源ですが、通販でwav音源のサントラを購入可能です。
  • とっかかり
    フリーゲームなので公式サイトに行ったらすぐにでも即行DLして遊べます。全画面表示でなく容量も軽い上にマウスクリックで進むのが基本なので、プレイ自体は非常に手軽かと思われます。ただしそれ以上に作風のクセが強いので、まあひぐらしみたいなものだと思って慣れてください。

と、まあぱっと思いついたのはこんな所。
ここまで偉そうに書いた上でぶっちゃけると、私はそんなゲーマーじゃありません。その道の人から見たら、ひよっこもいい所でしょう。ついでに同人ゲームのことも、ひぐらしから入ったくらいなので詳しく知りません。上で書いた理屈も、さっき考えた思いつきです。ていうか多分間違ってると思うので暇な人は突っ込んでください。正直よく分かりません。で、じゃあこの記事は一体なんだったのかというと、要は「『アンディー・メンテ』っていう面白いゲームがあるので皆プレイして、ついでに絵師の人は二次創作とかしてどんどん広めていけばいいのに」ってゆう話でした。

追記

http://d.hatena.ne.jp/Erlkonig/20060428/1146154274
作品数が多すぎてどれからやればいいか分からないとコメントもらったので、幾つか紹介してみました。

*1:まあ映像とか根本的な資本で勝てるわけありませんから、広義のゲーム性とかそのへん基準で。

*2:ていうか私はあんまり知りません。

*3:もっといい例が沢山ある気がします。

*4:世界観の定義とか適当です。

*5:http://f4.aaa.livedoor.jp/~jiscald/ http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7104/main/

*6:後日追記。『アールエス』というゲームのプロモーションムービーがあるのでミラー貼っときます。http://www.dsk.zaq.ne.jp/cablenet/multiway/ruind.lzh