アンディー・メンテの敷居が高い理由

なんか「○○が××な10の理由」という記事がちょっと前に流行ったらしいですね。これ見て「反対側から突っつくとかえって興味持ってもらえるかも」とか思ったので、便乗して性懲りもなくまた紹介してみますよ。「敷居高いから素人にはお勧めしない」とか言っておけば、ひねくれ者は逆に手を伸ばしたくなるものです。ですよねっ。

絵がアレ

最初に頭に飛び込んでくるのは何といっても視覚情報ですから、やっぱりこれは重要。AMの昔の作品に出てくるイラストはいわゆる「ヘタウマ」と呼ばれる類のもので、これはこれでたいへん味はあるものの大きな求心力は望めません。逆に近作ではひぐらしや東方と比べて見劣りしない程度には達者*1な絵柄が用いられていて、キャラの魅力と相まり二次創作的なイラスト系ファンサイトが数十件つくくらいの人気はあります。とはいえ輪郭線をしっかり書かないラフっぽいというか我流っぽいタッチはいわゆる「萌え絵」からはちょっと距離があり、初見では抵抗を感じる人が多いかもしれません。

電波

ぶっちゃけ電波なんです。変な小動物が脈絡もなく登場して意味不明な台詞を発したり、高難度のSF設定が「考えるな感じるんだ」の姿勢で説明もなくばんばん出てきたり、そもそもお話あブツ切りで流れがぜんぜん分かんなかったり。いろんな意味で心に刺さる痛々しいストーリーも感性が合わなければ意味不明かと思われます。ウエダハジメさんの漫画に負けないくらいには難解で、初見では何が起きてるか把握するのも難しいでしょう。ついでに公式サイトの作りとかも比較的電波分高めで、これはもう仕方ないとしか。あと誤字脱字が異常に多いのははわざとっていうか仕様です。

マニュアルの不在

AMのゲームにはまともなマニュアルがついてません。「マウスで操作するよ」とか「いろいろ試して操作方法をあみだしてね」とか、説明書きがその一文で終わってるということも往々にあります。とはいえ、AMのゲームはマウスクリックだけでプレイできる作品がほとんどでなので、詳細なマニュアルなんてなくても視覚情報から操作方法は直感的に理解できます。問題はゲームシステムや各パラメーターの意味を教えてもらえないこと。こういった要素はプレイヤー自身が試行錯誤することで自ずと理解できるように作られていて、ある意味で不思議のダンジョン的にノウハウを蓄積させていくことがAMゲームの醍醐味のひとつです。とはいえ、そのスタイル自体がゲームの敷居を高くしていることは否めません。

フリーソフト

AMのゲームは基本的に無料でダウンロードできます。つまりコミックマーケットなんかで売り出されているわけではなく、もちろん同人ショップなんかを仲介しているわけでもありません。お金を払わなくていいのはプレイヤーにとって大きなメリットですけれど、結果的には人目に触れる機会を少なくする一因になってるんじゃないかなと思います。お金を払えばそのぶん熱心にプレイするといこともあるかと思うので、これはなかなか大きな要素じゃないかと思います。

ファンの傾向

おおざっぱな傾向として、AMファンはあまり他人にAMを勧めようとはしません。「AMの面白さが理解できる人間は一握り」という意識がある気がします。最近のAMは昔と比べるとかなり敷居が低くなりましたけど、数年前までの作品はそれはそれは人を選びまくるもので、その頃の名残という面もあるでしょう。AMがあまり多くの人に知られないのには、こういったファンの姿勢も関わっていることかと思います。



知ってる人にはいちばん肝心なことを書いてないじゃないかと言われそうですけど、多分きっと気のせいです。とりあえず、ひぐらしTYPE-MOONをコンシュマーRPG界隈でのDQやFFに例えるなら、AMはせめて女神転生くらいのポジションとして認知されてもいいんじゃないかなーと思いました。

*1:あーあー聞こえない