『うそつき 〜嘘をつくたびに眺めたくなる月〜』

うそつき―嘘をつくたびに眺めたくなる月 (新風舎文庫)
若いっていいですね。

後半の展開はたしかに安易。とくにお姉さん関係のエピソードは、こういうのを道具立てとして持って来られるのは生理的にどうも受け付けません。でも6章以降の展開はベタが良い方向に突き抜けた感があって、逆に気持ちがよかったです。やっぱり私はこういうのに弱いのかもしれません。あと沖名さんがひっくり返るシーンがやたらコミカルに思えたのは気のせいですか。

主人公の輝夜さんは毒舌と言うよりも、やっぱりいつもの日日日節です。TVばっかり見てる一般人は愚か者ばかりで、自分はそういう集団に属さない特別な人間だと思いたがります。こういったダメな人間を描かせたら右に出る者のいない日日日さんですけど、彼自身も半分素で天然なのはやっぱり困ったものですね。いきなり民主主義とか平等社会の批判をはじめるのはさすがにどうかと思いました。

正直痛々しくて、小説的な要素とは別の部分でかなりストレスが溜まるんですけど、どうにも嫌いきれないのは誰もが*1こういった時期を経験しているからなのでしょうか。まあ、こんな文章は若いうちにしか書けないわけですし、今のうちに好き放題書いておいた方がいいと現役中二病の14歳は思いますよ。後々笑いの種にも出来ますしね!

ところでこの作品のアマゾンレビューに、絵に描いたような書評右翼の人が……。

*1:いえ、真っ直ぐ成長した人もいるでしょうけど!