『GOTH』

画像に隙間が。無念。
うーん、ええと、こういうのはすごく好き……だったはずなんですけど、いつの間にか嗜好が変わったみたいです。何年か前なら、この二人の主人公にすごく共感していろいろ危なげなことを口走っていたかもしれません。もちろん今読んでも主人公達の思考が理解不能というわけでは全然なく、少し離れた位置から傍観者的に、なるほどと頷きながら眺めることが出来ました。ここで描かれている心理は程度こそ極端ですけど、方向性自体はそれほど特異ではないと思います。
集団に属さず孤高であろうとする森野さんは、『少女には向かない職業』の宮乃下静香さんと同じ位置にいる人ですね。ただ、『少女には向かない職業』の宮乃下さんが最後ああなるのに対し、森野さんは最後までぼろを出しません。そういう意味で『GOTH』はたしかにファンタジーなのだと思います。*1
これが本格ミステリー大賞を受賞したと聞いて、本格ミステリーがどういうものを指すのかまた分からなくなりました。本格ミステリーというと密室やトリックがばんばん出てくる、いわゆる推理小説に近い作品群のことなのだと認識していたんですけど、これはそういうミステリーじゃありませんね。
物心ついたくらいの子供に読んでほしい気もするし、読んでほしくない気もする作品でした。とりあえず、再読するときは妖怪大激突のコメディとして読めばいいと思いますよ。

*1:『少女には向かない職業』は、この手のキャラクターの現実をはじめて暴いた作品だと思います。