西尾維新ネコソギラジカルの上巻を読んでまた失望した。なんだこれは! 俺は西尾のクビシメロマンチストを読んで、その「友人」「他人」との馴れ合いを否定する姿勢にとても共感して一気にファンになった。人と人は決して分かり合うことができない。結局人が自分自身のためにしか行動しないという俺の主張を、西尾はたしかに代弁していたのだ。しかしネコソギラジカルでは、主人公はその主張をなかったことにして他人のために動く。それもたった一人の恋人やごく身近な仲間ではなく、ほとんど無関係と言っていいような人間のためにまで。たしかにそういった少年漫画のような分かりやすい展開の方が、文学や教養小説ではなくラノベばっかり読んでいる一般人の読者にはウケがいいのだろう。しかし西尾はそういった動機が欺瞞であると知っているはずなのだ。結局西尾も読者に媚び金儲けに走る俗物でしかなかった。クビシメロマンチストであんなに感動したのに、その俺を西尾は裏切ったのだ。俺は西尾維新を赦さない。もう西尾の小説は二度と読まないだろう。★★☆☆☆