『ステーシー 少女ゾンビ再殺談』大槻ケンヂ

ステーシー
ISBN:4041847095
文庫の表紙画像が出なかったので、画像の方は単行本の方を張っておきました。

近未来。そこでは15歳から17歳の少女たちが突然原因不明の死をとげ、人間を襲う屍体・ステーシーとなって蘇える"ステーシー化現象"が蔓延していた。増え続ける彼女たちを再び殺すには165以上の肉片に切り刻まなければならなかった。

はい。こんなんです。
これだけを見るとスプラッタですね。実際に作中でも女の子の顔がトマトみたいに潰されたり、女の子の頭部をキャンプファイヤーに放り込んだり、女の子の身体を最低でも百六十五以上の肉片にバラバラにしたりする描写がしつこくしつこく描写されるので、たしかにスプラッタといえばスプラッタです。スプラッタSFですね。角川ホラー文庫ですけど、この文庫に入ってる作品の多くがそうであるように、もちろんホラーではありません。
でも、もしもこれをむりやりジャンル分けするなら、やっぱり恋愛小説がいちばん違和感がないと思います。人々はステーシー化してしまった自分の恋人や妹を再殺して切り刻まないといけないわけですから、そこに愛の物語が生まれないはずはありません。また職業として少女たちをバラバラにしていく再殺部隊の隊員にしても、ステーシー少女たちを笑いながら惨い方法でなぶり殺すことでした彼女たちをいたわる方法を持たない人たちです。何かいま根本的に間違ってる気がしましたけど例によって気にしないでおきましょう。
ちなみに少女を切り刻む時に用いられるチェーンソーの通称は「ライダーマンの右手」だそうです。