『白人萠乃と世界の危機』七月隆文

白人萠乃と世界の危機 (電撃文庫)
な、……なんですかもう……。
作品に対する評価の基準なんて所詮「合う」か「合わない」か、「好き」か「嫌いか」しかなくて、質の良し悪しなんて後付けのこじつけに過ぎないんですよー、みたいなどうしようもない主義というか一面を見せつけてくる一冊です。もちろん書いている七月さん自身はそんなうがった考え方をせずに必死で「質の良いもの」にしようとしているはずですけど、何かもう……なんかもうです。*1とにかく壮絶に馬鹿馬鹿しい話なので、とりあえず最初の十ページが合うか合わないかで買うかどうかを決めれば間違いは少ないと思います。
これは森博嗣さんの『ZOKU』のライトノベル版ですね。うそくさい正義の味方と悪の組織のまるで緊迫感のない対立やら、徹頭徹尾軽い文章で魅せてくるやり方やら……。『ZOKU』のよく分からないユーモアをもう少し分かりやすい(分かりやすすぎる)ギャグに置き換えればまさに本書です。うへえですまったく。
ところでこの人は大阪に何か怨みでもあるのでしょうか。本書は変態な登場人物の一人が大阪出身であることをやたらと強調していたり、大阪人全員がたこ焼きを好物としていると錯覚させるような描写があったり、大阪人は常にボケとツッコミの機会を狙っていると言わんばかりの雰囲気があったりします。偏見にしてもこれはひどいと思いつつ著者紹介欄を見たら、なにか明らかに大阪出身のようなことが書いてありました。この裏切り者!

*1:言い方が嫌味ったらしかったので追記。決して嫌いではないし、たまに読むのならむしろ好きな部類に入ります念のため。