『ひぐらしのなく頃に解 祭囃し編』

今頃になって。各シーンの詳細はネタばれスペースでみっちり書いていこうと思うので、こちらではさっくりと感想を。
えーと、プレイの衝撃から二週間が経ってようやく普段の生活ペースを取り戻した現在の印象として、大変満足な最終章でした。不満も山ほどありますけれど、それを差し引いてもあえて満足という言葉を使うのが正解でしょう。ひぐらしは実にアラの多い作品でしたけれど、それは設定の矛盾や誤りが多かったという意味ではなく、もっと物語的/雰囲気的な意味でのそれだったということを、ここで一言断っておきたいと思います。

ひぐらしのなく頃に』は、加点法なら簡単に100点超過、減点法ならあっさりマイナス超過という典型的な「人を選ぶ」タイプの作品です。特に物語の前半と後半では、作品のジャンル自体がすっかり別のものとなってしまいました。最初の印象がそのまま続くものだと思ってプレイしていて、後半で「これは自分の思っていたひぐらしじゃない」と感じて脱落していった人は少なくなかったと思います。そういったプレイヤーへの配慮を欠かさないのがプロの仕事なのだとしたら、ひぐらしは正しく同人畑の作品だったのでしょう。もちろん、これは悪いことばかりではありません。「ジャンルシフト」のダイナミズムは、シフト前とシフト後両方のジャンルを受け入れられる人にとっては、それだけで途方もない衝撃になるからです。

こうして作品が完結してみると、本作のメインキャラクターである五人の部活メンバーは、作者竜騎士07さんの気質をなかなか正直に反映していたように思います。口先でプレイヤーを煽り立てるアジテーションの腕は圭一さんのようですし、スイッチが入ると可愛いものを前にしたレナさんのように行ける所まで暴走してしまいます。抗いがたいミスリードは沙都子ちゃんのトラップワークを彷彿とさせますし、安心させてから叩き落すタヌキっぷりは梨花ちゃんに通じます。そしてなにより、肝心なところでネタをやっちゃうような圧倒的な空気読めなさは、まさにみおん(・3・)のそれに他ならないのです。