手はじめに

てっとりばやくこのダイアリーの方向性を示すために、魔界の話題と本の話題とゲームの話題をします。
今日も一日お仕事でした。なんでも南のほうで下級モンスターであるぷよぷよが大量発生したそうです。とにかく四匹集めればどんどん消せるので、それ自体の駆除はそれほどの手間ではいのですが、間違って大連鎖した際に大量のおじゃまぷよを降らしてしまったそうです。結局これを全て消すのに本来の数倍の時間がかかってしまったようで……ご苦労さまでした。
お仕事の合い間に上遠野浩平さんの『しずるさんと底無し密室たち』を読み終えました。またあとで詳しく書きますね。このあいだ川上稔さんの『終わりのクロニクル 4(上)』と森博嗣さんの『工学部・水柿助教授の日常』を読んだので、これについては下の方で。地球支部の家来さんに買ってくるよう頼んでいた伊坂幸太郎さんの『オーデュボンの祈り』が手に入ったので、明日から読みはじめます。ゲームは……あばたえくぼのアールエスをこつこつとプレイしています。

『終わりのクロニクル 4(上)』

終わりのクロニクル 4(上) AHEADシリーズ (電撃文庫)
とうとう500ページをこえましたね。昔と比べ紙質が変わっているようなので最厚というわけではありませんが……数えてみたところ、川上さんの本の中では最高のページ数のようです。お話はちょっと加速気味で、4th、5th-Gと同時に交渉しつつ、米国UCATとの間の問題も大っぴらに浮上してきました。さらに新キャラクターとして、一巻プロローグにちょっとだけ出てきたヒオさんと原川さんが舞台に上がります。ヒオさんについては、えっと、ちいさめの女の子が好きな男の人たちが色々なところで壊れるほどの大騒ぎをしていたので、多分そういうことなのでしょう。
今回は普段よりも笑う場面が多めでした。シリアスなシーンが続いたあとにギャグシーンで落とすというお約束が堂にはいってきて、そのタイミングがなかなか絶妙です。川上さんのギャグは直接的なネタが多いのですが、(特に今回はいろんな意味で子供には分からないネタだらけでした)雰囲気自体はぜんぜん下品になりませんね。職人技というか……何なのでしょう一体。屁理屈でむりやり話を押し進め、それでも決めるところではちゃんと決めてくれる佐山さんの交渉が、実は一番楽しめるシーンかもしれません。
某所の大神祭を遠くから眺めていたのですが、あの流れの速さにはついていけませんでした……。

『工学部・水柿助教授の日常―The Ordinary of Dr.Mizukaki』

工学部・水柿助教授の日常 (幻冬舎文庫)
日常というくらいなので殺人事件はおきません。鞄がなくなったとか、そのくらいの規模のミステリーがいくつも出てきます。タネがわかってあっと驚くというよりも、蓋を開けたら大したことではなくてなあんだと肩を落とすという方向性なので、こんなものはミステリー小説じゃないと思う人もいるでしょう。さらに全編とおして地の文がとても多く、それが森さん独特の軽い語り口で綴られていて、ほとんどエッセイのような趣になっています。文体が合わない、ユーモアが理解できないという人もいるかもしれません。でもそういったことが気にならなくて、好き好んで森さんの日記シリーズを読んでいるような人や『ZOKU』が面白かったという人なら、きっと満足できると思います。
ZOKU』はキャラクターの面白さで魅せていく作品でしたが、この本はより地の文で魅せていく作品ですね。笑いの種類をギャグとユーモアで分けるなら本書は完全に後者で、読めば読むほど森さんの知性の高さが窺えます。一発で吹きだしてしまうようなインパクトのある笑いはあまりありませんが、小技でこつこつと攻めてくるぶん実は根が深いです。読んでいると知らず知らずの内に表情がにやにやとしてしまっていて、慌てて元に戻すということが何度もありました。(やはり仕事中に本を読むものではありません) 小説を読み終わってしまうのが惜しいと思ったのは久しぶりで、とにかくとても楽しめました。そういえばこの本の解説は筒井康孝さんでしたが、解説文としては無類に面白い出来だったと思います。