『クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識』西尾維新

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社ノベルス)
化け。化け。化けました。化けてませんか?*1
クビキリサイクル』で見せた片鱗が斜め45度の角度で延長したような。もうもの凄いどんでん返し。「どんでん返し」と堂々と書いてもまったくネタばれになる余地がない種ののどんでん返し。そもそもどんでん返しとは言わない気もするくらいのどんでん返し。それをうすうすと予感しつつもまさかそれはないだろうと希望を求め、むしろそこにあるのは救いかもしれないと楽観したところでの突き落とし。
これに衝撃を受けて「この主人公は自分とまったく同じことを考えている、代弁している」みたいな感想を自分のサイトに書いて、一月ほどして記事を読み返してからあまりの痛々しさに青くなって削除、みたいな経験をしたことのある人がきっといるでしょう。(本当にいたらどうしましょう)
それでなくても、自分がこれまで曖昧と概念的感覚的に考えてきた人間関係についてのあれこれを、かなり明確な言葉であっさりと成文化してしまった主人公に並々ならぬ共感(またはそれ以外の何かの感情)を抱いた人は少なくないはずです。
これは本当は気持ち悪いかもしれないけれど決して気持ち悪がってはいけないものを平然と気持ち悪く描写してしまうことの気持ち悪さですね。そうやって気持ち悪いものを糾弾するわけですけど、それが結局は自分自身をも糾弾する結果になってしまって、しかもそれこそが実は真の目的だったり。自分が何を言ってるのかわからなくなってきましたよ。ああ気持ち悪い。
ええと、とにかく明日家来さんに全巻買わせてきます。

以下ネタばれ補足。
「どんでん返し」=「甘えるな」のこと (反転)

*1:今回の記事は一般的な視点に立つことを放棄してますよーみたいな