『AIR』

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遠野美凪さん編のトゥルーエンドルート。
TV版とほぼ同じ展開でした。(「TV版がー」と言うべきかもしれませんけど) これだけの内容をCM抜いてわずか3時間にも満たないような尺の中で表現してしまったアニメ版は凄いと改めて実感。最初はむーむーと煩わしかったみちるちゃんが最後の方になるとこの上なく可愛らしく思えてくるあたり、実に上手いですね。いわゆるツンデレってこういうものを言うんでしょうか。実例確認。
お話としては悲しさとか寂しさという言葉に焦点が当たっていた気がします。それが努力や機転で克服できるものならいいんですけど、この作品の場合は世界の初期設定からして間違いを含んでいるので、どんなにうまくやっても必ずどこかで痛みを受けざるを得ないようになっています。うー、やる瀬なし。
TV版でも受けた印象ですけど、やっぱり恋愛ものからは外れたお話ですね。物語の中で重要なのはあくまでもヒロインの幸福であって、主人公である往人さんの充足なんてまったく問題にはされません。立場としては触媒みたいなものです。もちろん往人さんには往人さんなりの目的があって、「ラーメンセットだけ食わせとけばそれで十分」というわけじゃ決してないんですけど、少なくともそれはこのシナリオでは本筋ではありません。往人さんなしには進まなかったお話ではありますけど、その関わり方が必ずしも恋愛という形である必要はなさそうで、美少女ゲームというジャンルを「そういうもの」としてしか認識していなかった身にとっては実に新鮮でした。