『メモリアノイズの流転現象』上遠野浩平

メモリアノイズの流転現象 (ノン・ノベル)
いつも通り。
いえ、毎回"いつも通り"で片を付けちゃいけないとはおもうんですけど、だっていつも通りなんですもん。決して停滞しているというわけじゃありませんし、一作一作書き方も違っているとも思うんですけど、いかんせん"上遠野さんであること"自体のアクが強すぎます。多少作風に変化があってもその触れ幅を軽く飲み込んでしまうくらいの、強烈な特性が彼の作品にはあると思います。もちろんこれは"いつも同じことをしている"というわけではないので、ぜんぜん悪いことじゃないんですけどね。
このシリーズの特徴は、上遠野さんにしては珍しく登場人物に一般人がほとんど存在しないことでしょうか。『ソウルドロップ』のカップルや本作の杜名賀家の人間は普通の人ですけど、あんまりお話のメインを張っているとは言い難いですし。あとあのロボット探偵はいくらなんでもお茶目すぎると思いました。