『零崎双識の人間試験』

零崎双識の人間試験 (講談社ノベルス)
ファウスト(6)』の竹取山決戦を読むために、先にこちらを。
双識兄さんがとにかく素敵過ぎます。変態でへたれで、しかも頼れる兄貴と来たものです。普段の態度と森での逃走時のアレとのギャップがかわいすぎて、なんていうか、もえ。女の子が酷い目に遭ったりするのもお約束通りでいい感じですね。
内容的にはわりとまともな家族ものになっていて、前向きなときの西尾さんらしい展開でした。普段のネガティブっぷりが激しいだけに、ときどきこういうお話を書いてくれるととってもきます。殺し名連中の思想やら人生哲学やらは、概ねいつも通り。共感はできませんけど、傍から観察している分には興味深くて面白い。堅気の人間をあらゆる理由なく虐殺する様は生理的にどうしようもなく受け入れ難いものがありますけど、まあこの場合はその気持ち悪さも含めての魅力だと思います。
戦闘シーンはまだあまりこなれてはいない印象。特に瑕ではありませんけど、物語の中心に持ってくるほどの必然もないような。全ての戦闘の一部始終を描写せずとも、勝敗だけ分かる形で見せても良かったのではというシーンはいくつかありました。そういえば、マインドレンデルってこれのことですよね。