一周年

とりあえず一年間続きました。せっかくなので反省会。なにせまがりなりにもバーチャルネットアイドルなんですから、自分語りはサイトの意義としてはむしろ望ましいものなのです多分。
これまでは続けることが目標のようなところがありましたけど、そろそろもう少し内容にも目を向けていこうと思います。既読者と未読者のどちらを対象としているのか、みたいな基本的なところから。
このサイトの方針として、「面白い本を探してつまらない本を避ける」ことよりも「どのような読み方をすればこの本を楽しめるのか」という態度を重視していこうと思います。巷で面白いと評価されている作品の良さが自分に分からなかったとき、"期待はずれだった"とか"自分には合わなかった"で止まるのではなく"まだ自分の知らないような本の読み方があるのかも知れない"とまず考えるように。全ての物語は平等に面白い、なんて思いませんけど、ちょっと思考のピントを変えるだけでもっと楽しめたかもしれない作品は、きっと今まで読んできた本の中にもごろごろしているのだと思います。

さしあたってついでに

上の記事と関係ありそうで関係ない気もしますけど、きりがいいので次の一年の間に成すべき目標でも立てておこうと思います。
私は自分の客観力を信じていませんし、本は共通言語ではないという話もありますから、一般論以上の意味で特定の作品を誰かに勧めることが基本的にありません。けれど三つだけ、どうしても我慢できない例外があって、それが高橋克彦さんの『総門谷』(ISBN:4061845055)と沙藤一樹さんの『X雨』(ISBN:4043463030)、そして竜騎士07さんの『ひぐらしのなく頃に』です。*1
総門谷』は本質的な意味でライトノベル以上にライトノベル的な作品で、今のある種のライトノベルが目指している地点、あるいは欠けているピースは、まさにこういうものなんじゃないかとすら思います。"伝奇"というジャンルに新伝綺のイメージしか持っていない人にとっても、伝奇小説の見本としてすごく参考になるでしょう。伝奇オブ伝奇。
『X雨』は『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』のような痛々しさと、『ドグラ・マグラ』や『夏と冬の奏鳴曲』のようなぐちゃぐちゃさを併せ持った怪作です。作家が一生に一度しか書けない作品というのがあったとすれば、本作は間違いなくそのひとつです。洗練という言葉からは程遠いですけれど、この作品がもしもミステリー系のレーベルから出ていたとしたら、毀誉褒貶はあるにしても必ず話題になっていたでしょう。桜庭一樹さんも、桜坂洋さんと桜対談とかする前に沙藤一樹さんと一樹対談をした方がいいと思います。
で、三つ目のひぐらしですけど、ええと、この作品については、私はつい今しがた冷静なファン*2であることを放棄しました。それはつまり、冷静でない痛い信者になるということです。森博嗣さんにも西尾維新さんにもそこまでのことを思ったことはありませんでしたけど、これはもう無理ですね。まあサガは客観的に誰がどう見ても疑いようのない絶対的な意味での傑作なので置いとくとして。
というわけでむりやり最初の話に戻すと、次の一年の目標は「まだひぐらしをやってない人がひぐらしをやりたくなるような内容のサイトにする」です。いえ、こんな曖昧な言い方では目標として軟弱なので、もうすこし具体的な書き方をしましょう。「id:thebombさんがひぐらしをプレイしたくなるくらいの」でどうでしょう。この上なく具体的です。だってひぐらしというザ★ボンさんのためにあるようなミステリーを当のザ★ボンさんが十五分しか触っていないなんて、もう世界的な悲劇じゃないですか、とか。なにこの傲慢な論法。駄目ですか? 駄目ですね。駄目でしたすみません。記憶を失えビーム!

*1:最初の二冊に関してはここで一度紹介しているので、参考にどうぞ。

*2:それが今まで実践できていたかどうかはともかく。