『水滸伝(十七) 朱雀の章』

水滸伝 17 朱雀の章 (集英社文庫 き 3-60)

 ウギャーッ! 楊令さんが小池一夫キャラみたいになってしまって私はとっても悲しいです! え、えれくち(全力で検閲されました

 はっきりと、戦の終わりが見えてきました。禁軍元帥の童貫さんが遂に兵を率い、勝っても負けてもここで終わりという局面に来ています。総力戦に次ぐ総力戦で、梁山泊の百八星は次々と散っていきます。

 その死が、ただ死ぬだけのものではありません。一人ひとりの物語が完結し、その結果として死に至るということが、丁寧に繰り返されている感があります。だからこの作品の登場人物の死は、物語の中で描かれてきた致死軍の戦いや闇塩の道といった伏線の回収と、完全に同期しています。

 そろそろ本格的に、好漢の後を継ぐ者たちが物語に食い込み始めました。未来の梁山泊を担うことを予感させる子供たちが一人ひとりと登場し、だんだん原典としての『水滸伝』の枠組みを広げていこうとしているように感じられます。今後どれだけの敗け戦が待ち受けていたとしても、彼らがいる限りこのお話は悲劇にはならないのだと思います。