『輪るピングドラム』

 10年遅れですが視聴しました。放送当時は象徴性の強い映像に対する解釈議論でネットが喧々轟々だった印象があって身構えてましたけど、通しで見ると伝えんとしてるところはかなりストレートでしたね。

 一度頭の中で設定を咀嚼して「こういうことかな?」と推測を立てながら見ていかないと話の構図を追うのが難しかったウテナと比べ、本作は設定的なところが理解できなくても本筋として伝えたいであろうところはだいたい伝わる映像になっていて、すごく呑み込みやすかったです。どう斜に見てもある種の社会的苦難を負う層に向けたメッセージ性を持つ作品なので、伝わる人にだけ伝わるような作りにしていないのは道理だと思います*1

 特に最終回の構成は、これ自体が1つの映像作品として問いと答えをセットで提示しているので見通しが良かったです。選ばれた子供と選ばれなかった子供が分かたれていて、テロリズム的な手段に訴える者がいて、という状況を見せた上で、クライマックスで「運命の果実を一緒に食べよう」という言葉を示す。とても浅いレベルではありますが、作品理解の第一歩として「なるほどこれはこういう話だったんだな」という確信がまずは得られたし、どこまで掘り下げても結果的にはこの一言に戻ってくるんだろうなという気がしています。

 話の核心がスッと伝わることと、どこまで掘り下げて読み込める作りになっているかはぜんぜん別の話なので、そういう意味では分かりやすいどころかとことん底なし沼な作品だと思います。一回観ただけだとなんも理解できてないな、というのが正直な気持ち。後ろで終始ペチペチやってるペンギンとか画面に映り込むあれこれが意味のカタマリだと思うんですが、なんか賑やかで楽しい映像だな、くらいのことしか受け取れてない。引用された実在のテロ事件を同時代的なざっくりしたシンボルとして見るべきなのか、もっと具体的な固有の出来事として掘り下げて見るべきなのかもよく分かっていません。こういうところはもう本作に10年付き合ってる先輩方に教えを乞うしかないですね。とはいえ、作品を読み込むことで最初に提示された核心が掘り下げられこそすれ、裏切られることはない作品だと理解しているので、そこは素直に観ていいのだろうなと思っています。

*1:この方向をもっと突き詰めてシェイプアップしたのが『さらざんまい』なんだろうなという印象もありますね。