『ひぐらしのなく頃に 罪滅し編』を"罪滅ぼし"という軸から考えてみる

ひぐらしの世界が大団円に至るためには、クリアしないといけない二つの障害がありました。ひとつは雛見沢大災害や綿流し連続殺人事件をはじめとする"外からの悪意"で、もうひとつは圭一さんや詩音さん、レナさんの暴走に見られるような"内なる疑心暗鬼"です。どの編であっても、この疑心暗鬼が第一の惨劇を招いているのです。
で、このお話が"罪滅ぼし"の物語であることは一目瞭然です。この"罪滅ぼし"を、"内なる疑心暗鬼"を突破することと考えることは飛躍した話ではないでしょう。メタな話になってしまいますけど、それ以前の世界で仲間を疑い遂には殺してしまったことへの償いという風に。
本編で圭一さんとレナさんの罪滅ぼしが行われていることは、言うまでもないと思います。沙都子ちゃんと魅音さんについてはその懺悔がはっきりと描かれているわけではありませんけれど、レナさんの殺人告白シーン、またはループ記憶の戻った圭一さんの罪の告白シーンでその罪もそそがれたとみていいかもしれません。沙都子ちゃんについては、彼女もまた疑心暗鬼に陥って罪を犯したという梨花ちゃんの言もありますし。ちょっと気になるのは魅音さんで、レナさんの告白シーンで彼女だけ反応が遅いみたいな意見もちらほらあります。
まあ何にせよ、ラストで圭一さんが「もう俺たちはお互いを疑わない。だからいつまでも結束している!!」と大演説をぶっていることから、"内なる疑心暗鬼"の引き起こす悲劇はもう終わったと見てよさそうです。もうひとりのKOOL、詩音さんに関してはどうなのよという話ですけど、彼女の罪滅ぼしも『目明し編』のラストで行われたと見ていいんじゃないでしょうか。罪を悔い、沙都子ちゃんたちとの幸せな時間を夢見る彼女は、最初に疑心暗鬼のループから抜け出した人物と言えるかもしれません。
皆殺し編』は、おそらく七度目のバッドエンドを迎えると思います。それはもう完膚なきまでに、梨花ちゃんははらわたを引きずり出されて、雛見沢住人千余人はガスで全滅して、トミーは相変わらず喉を掻き毟って、というくらいの大バッドエンドだと思います。けれど、それでも、圭一さんたち部活のメンバーが互いに疑心暗鬼に陥って傷付けあうことはもう決してないでしょう。梨花ちゃんの言う通り、幾十に渡る繰り返しの世界の末、圭一さんたちは遂に自分たちの力でひとつの大きな敵を打ち破りました。残る敵は、雛見沢の暗部という巨大な悪意ただそれだけです。