『ひぐらしの哭く頃に 雀 燕返し編(上)』が本気のひぐらしな件

ひぐらしの哭く頃に 雀 燕返し編 (上) (近代麻雀コミックス)

 ひぐらしの外伝漫画はあまり追いかけていないのですが、本作は竜騎士さんが直接原案書いてるらしく、かなりストレートな『ひぐらし』になっているという評判だったので、期待して読んでみました。はい、これガチです。

 メディアミックスでよくありそうな、「とりあえずひぐらしのキャラを使った麻雀漫画」どころではありません。まさに"あの"ひぐらしの世界の中に、どっぷりと麻雀が取り込まれた感じ。お馴染みの雛見沢ルールがあり、各キャラクターの行動原理があり、そのメカニズムの中のひとつの軸として「麻雀」が重要な役割を負った形。とってつけたような無理矢理感もほとんどなく、本編の「部活」の延長としてしっかり機能しています。

 赤坂さんが興宮近郊*1に住んでるという珍しい設定になってるおかげで、大石さんともどもメインストーリーにがっちり食い込んできます。首ポリポリな圭一関連で入江さんにも出番があるし、鷹野さんも相変わらずいらんこと煽りまくるし、もちろん部活メンバーにも一人一人焦点が当たっていくしで、限られた頁数の中でよく練られてるなあと思います。

 細かいところでは、詩音さんが園崎「組」の跡取り*2という設定になっていて、おやと思いました。今のところ特に何もないのですが、今後の展開のための意味を持たせた仕込みだったら嬉しーですね*3。あと赤坂! 今回雀ゴロ役で出演してる赤坂が祭り囃子編もかくやというくらい格好良く描かれてるので、赤坂ファンの人*4はこれ必見かと思います。ただし素でロリコン扱いですが。

 ベースは鬼隠し編同様、圭一が疑心暗鬼に囚われていくお話。麻雀で大負けして首ポリポリ。メンタル弱っ! 愉快犯で麻雀けしかける鷹野さんはともかく、梨花ちゃんはもう少し強引に引き止めるなり何なりした方がいいと思いますね全くこの子は。

 終盤ではなんか普通に綿流し起きちゃったし、このまま真っ当にいけば鬼隠し編同様のバッドエンドになりそうなんですが、テーマ的には疑心暗鬼の超克をこそ目指していそうなので、どうなるかなというところ。単純な悲劇は本編の方で散々やったので、テーマも既に確定した今になって描かれている本作は、より前向きな方向に倒れていくはずではあります。ルールY、Zの打破は難しいにしても、なんとかルールXに一矢報いて終わるのがこの作品の妥当な落としどころなのかなと思います。

*1:麻雀で巻き上げたアパートだとか。娘さんはどうしてるのかしら……。

*2:原作でそういう設定ありましたっけ?

*3:下巻も確認したけど、特になんもなかったので残念。

*4:ニッチそう……。